ヒマヒマバブル絶好調道の川柳・森川晃

益城熊本空港ICの追加効果2



【第二空港線の整備】

 益城熊本空港ICの追加により熊本都市圏の高速道路利用総台数が増えたというこ 
とは、単純に既存の熊本ICと御船ICの交通分散効果を果たしただけではないよう 
だ。益城熊本空港ICの位置に高速道路利用の潜在需要のほかに新たな需要を引き出 
す要因があったということである。
 熊本市の放射方向の道路は、熊本城を中心とするCBD地区から東側に半円状で各 
方面に連絡している。放射道路には案外高規格な道路は存在しない。多数の低規格道 
路が分散して面的に需要をさばいている。ピーク率の高さ(1日の全体交通量の少な 
さ)が道路改良の条件を妨げているのかもしれない。なお、CBD地区は典型的な城 
下町の迷路になっている。道路はカギ状に曲折し、著しく交通容量を低下させている。
 ところで、1971年に熊本市の東側の菊陽町と益城町の丘陵地帯に熊本空港が開 
港した。当面は既存の国道57号がメインエアポートアクセスを担った。ところが、 
国道57号は先述の熊本東BP区間を頭にした渋滞多発区間で、定時性が求められる 
エアポートアクセスには不適切になってきた。そこで、1988年に県道36号熊本 
益城大津線が第二空港線として開通した。
 
 第二空港線概念図。
(建設省道路局(1998年当時)資料から引用。)
 第二空港線は、高速道路ではない。単なる4車線の一般道路だが、熊本市を抜けて 
益城町地内に入ると沿線に何もない一本道になり、極めてスムースに流れる。この道 
路を含め空港周辺の複数の路線が広告設置禁止区間に指定されている。そのため一般 
道路にしては景観がすっきりしたかたちになっている。(実は、広告設置禁止の表示 
板が多すぎて、案外この看板が目障りなのですが。)
 熊本市内は既存の区間で沿線の市街化は進行しているが、熊本東BPとの交差点が 
ネックの自然渋滞以外は案外スムースである。途中、陸上自衛隊健軍駐屯地の南西角 
でカギ状に曲折する箇所があるが、主交通を第二空港線として交通制御されているの 
で、交通容量をあまり下げることなく通過できる。(ただし、ピーク時には渋滞の原 
因になっている。それでも国道57号経由よりはスムースである。国道57号はさら 
に渋滞区間が長い。)

◆画像2
 第二空港線(県庁通り)
 熊本市水前寺6
(2002年10月22日 著者撮影。)

◆画像3
 第二空港線(熊本県道36号熊本益城大津線)
 熊本市神水2
(2002年10月22日 著者撮影。)
 画像2は、熊本東BPの西側(CBD側)で、この区間は県道ではなく熊本市道で 
ある。通称名は県庁通りで、熊本県庁の南側を通過して、水前寺公園交差点で路面電 
車の走る県道28号熊本高森線に合流する。ここからCBD地区までは3キロ程度だ 
が、ピーク時は30分くらいかかることもある。この渋滞の解消には都市高速道路な 
どの大規模な道路建設をしなければならないので非現実的である。
 画像3は、熊本東BPの東側(熊本空港側)で、県道36号の起点にあたる。中央 
分離帯のない4車線の平面道路で、第二空港線として熊本空港まで通じるまでは陸上 
自衛隊健軍駐屯地への連絡道路にしか利用されていなかった。

 しばらくはエアポートアクセスとして利用されていたが、益城町に入ったところで九 
州自動車道が交差通過しているのはいかにももったいない。九州自動車道の熊本都市 
圏へのインターチェンジは北東の熊本ICと北西の御船ICで、至近の真西は通過し 
ているだけである。第二空港線の容量に余裕があることだけでなく、九州自動車道を 
介して熊本県全域から熊本空港への利便性向上のため益城熊本空港ICの追加が決定 
した。開発インターチェンジなので、エアポートアクセスだけでは建設資金が集まら 
ない。そこで、第二空港線沿線に工業団地を新設し、また集客力の大きいコンベンシ 
ョン施設であるグランメッセ熊本をインターチェンジ東側に設置した。これらへのア 
クセスが九州自動車道の新たな需要になったのである。

 九州自動車道の熊本都市圏における3つのインターチェンジ
(熊本IC、益城熊本空港IC、御船IC)の位置関係。
 益城熊本空港ICは、熊本ICと同様のダブルトランペット型のフルセットランプ 
を有する高規格な形式で開通した。開発インターチェンジの追加で、最初から高規格 
で開通させることは珍しい。ある程度交通量が増えて、それに伴い規格を上げていく 
のが一般的である。開通当初から高規格でも十分な需要を予測していたということで 
ある。実際には、開通から1年以内の2000年1月には早くも既存の御船ICの交 
通量を上回った。その傾向は現在まで続き、2002年10月には御船ICの交通量 
は益城熊本空港ICの交通量の80%程度に下がっている。1日あたり2000台ほ 
ど、益城熊本空港ICが上回っている。高規格インターチェンジは有効な投資だった 
ようだ。(御船ICの交通量そのものは益城熊本空港ICの開通前後で著しく減少し 
ているわけではない。益城熊本空港ICの交通量が多く、それを基準にした比率が8 
0%になったということである。)

◆画像4
 益城熊本空港IC全貌。
 インターチェンジにグランメッセ熊本と、その広い駐車場が隣接している。
(熊本市のWEBサイトから引用。)

続く