【改良区間紹介】
(1) 東名三好IC〜東郷PA(上り線)
東名三好ICの東京寄りで境川を越えている。この付近がサグ※1になり、下り線
は東郷PAまで上り勾配が続く。この区間の交通量は約10万台で、4車線の道路と
しては都市間高速道路では国内最大である。平日夕方のピーク時には、渋滞列は岡崎
ICを越える。(サグの豊田IC側の勾配はゆるいので、上り線の渋滞原因にはなら
ない。)
※1 サグ(sag)
凹型縦断線形において、下り勾配から上り勾配の接続によってできる谷の部分。
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三好町福谷
三好付加車線終点。
下り線の付加車線は、そのまま東郷PAの減速車線になる。
路面のペイントは、付加車線からの本線復帰促進用。
正面のオーバークロストラス橋は名鉄豊田線。
(2002年8月17日 著者撮影)
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付加車線は、東名三好ICの本線合流車線が延長されて東郷PAの減速車線まで連
続するかたちになっている。道路の案内でも遅い車両の走行車線であることを明示し
ている。そのため、混雑時でも東名三好ICからの合流車両は早めに本線に合流しよ
うとするし、本線からわざわざ付加車線にレーン変更する車両も少ない。つまり、1
00キロ程度で走行できるときは、上り坂で減速する車両に起因する交通渋滞は防止
できるが、全車両が60キロ以下になる交通集中時には付加車線は有効活用されてい
ない。
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長久手町長湫卯塚
長久手付加車線。日進JCT方面をのぞむ。
(2002年2月24日 著者撮影)
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(2) 日進JCT〜名古屋IC(上下線)
まずは、夕方に名古屋ICの料金所を頭にした出口渋滞が本線までつながるため、
下り線の減速車線が1キロ以上延長された。次に、朝に名古屋ICからの合流渋滞に
対処するため、上り線の合流車線が延長された。それから、名古屋瀬戸道路の接続が
決定し、日進JCTまでの交通量増大を見越して、ここまでの区間のすべてを6車線
に拡幅した。
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長久手町長湫卯塚
名古屋IC方面をのぞむ。
(2002年2月24日 著者撮影)
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この区間は、名古屋ICの出入車両の多くが合理的に利用している。夕方の下り線
での渋滞が本線に影響することはほとんどなくなった。名古屋ICで降りる車両の多
くは、ICの手前2.7キロ地点から始まる付加車線になるべく早くレーン変更す
る。ただし、朝の合流渋滞はなかなか解消しない。いつまでも付加車線を走行せず、
早めに本線に合流しなければ安心できないという心理のせいだろうか。
名古屋瀬戸道路の接続で、付加車線が十分だったかどうか試されることになる。名
古屋瀬戸道路の交通量はそれほど多いとは思えないので、おそらく再度の改良には至
らないと思う。それに、接続するころには豊田JCTで第二東名高速道路と伊勢湾岸
道路が接続されているので、東名高速道路の交通量は幾分少なくなるはずである。
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尾張旭市霞ヶ丘町
小幡付加車線。名古屋方面をのぞむ。
(2002年8月11日 著者撮影)
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(3) 旭BS〜守山PA(上下線)
この区間は、小幡丘陵をピークとしたクレスト※2である。名古屋ICの春日井寄
りの旭BS(バスストップ)手前の矢田川橋梁と守山PAの先の庄内川橋梁に挟まれ
る区間で、上下線ともにほぼ同様の勾配になっている。(やや上り線がきつい。)
東名高速道路は、名古屋の市街地を避けるように大きく迂回している。そのため、
名古屋市内から見れば、東京方面は名古屋IC、大阪方面は一宮ICを利用するのが
一般的である。交通量は、名古屋IC?小牧JCT間は、名古屋IC以東よりも2万
台程度少なくなる。それでも、設計交通量よりは多いので、道路構造に起因する渋滞
の防止策は施しておくべきである。
※2 クレスト(crest)
凸型縦断線形において、上り勾配と下り勾配の接続によってできる山の部分。
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名古屋市守山区吉根長廻間
守山PA方面をのぞむ。
下り線の渋滞は、お盆の帰省に起因するもので、
小牧JCTの先から50キロ以上にわたっている。
小幡区間の道路構造に起因するものではない。
(2002年8月10日 著者撮影)
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付加車線は、小幡丘陵区間だけに設置されている。守山PAに至っていない。付加
車線のテーパ※3から本線を経て、守山PAのテーパになっている。この構造に起因
する渋滞は発生していないとは思うが、わずかの区間なので連続させても良かったの
ではないだろうか。
※3 テーパ(tapered lane)
加減速車線などで、本線にすりつけるため幅員を徐々に小さくして(大きくして)
いく部分。
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