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東名高速改良の効果・三好〜春日井(道の川柳・森川晃)1



【はじめに】

 東名高速道路は東海道の自動車交通の要であり、ほぼ毎日全区間にわたり設計交通 
量を上回る重交通を担っている。順次下記のように開通して、1969年5月に 
346.7キロが全通した。

     1968年4月25日  東京IC〜厚木IC    35.0キロ
                           富士IC〜静岡IC    40.3キロ
                           岡崎IC〜小牧IC    53.3キロ
     1969年2月1日    静岡IC〜岡崎IC   131.6キロ
     1969年3月31日 厚木IC〜大井松田IC  22.9キロ
                           御殿場IC〜富士IC   37.8キロ
     1969年5月26日 大井松田IC〜御殿場IC 25.8キロ

 全通当時、すでにその4年前に名神高速道路が全通していて、高速道路の利便性は 
浸透していた。また、東京から西宮まで通しで通行できることも功を奏して交通量は 
うなぎのぼりに上昇し、早期から交通渋滞が発生した。当初は、週末や盆、正月の行 
楽や帰省での交通集中に起因するケースが多かったが、次第に平日の慢性的な渋滞へ 
と深刻なパターンに変わっていった。
 
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 平日の交通渋滞予測。
 (日本道路公団発行の渋滞予測リーフレット。
    2002年4月〜7月版。)
 渋滞のお馴染みは、夕方の上り線の
 横浜町田ICから東京IC、
 同じく夕方の下り線の岡崎ICから
 名古屋ICであることがわかる。
【交通渋滞の原因】

 交通渋滞の原因は、ずばり通行車両の速度低下である。走行速度と最大交通量は比 
例関係にある。これは、単位あたりの道路面における自動車の停滞時間が短いほど、 
多くの自動車をさばけるということです。極端に言えば、速度0の自動車を道路に等 
間隔に並べてあたかも駐車場のように想定すれば、最大駐車台数以上の自動車はさば 
けない。もし、すべての自動車を10分だけ駐車して、別の自動車と入れ替えたら、 
1時間で6倍の自動車がさばける。かなり交通量が多い印象を与える一般道路よりも 
高速道路の交通量が多いのはそのせいである。(国道1号の岡崎市内の交通量は、並 
行する同じ4車線の東名高速道路の半分程度である。)1日14万台が通過する東名 
高速道路の横浜町田IC〜厚木IC間を、もし制限速度50キロにすれば、現在の6 
車線を12車線にしなければならない。
(実際の交通容量の計算はもう少し複雑ですが、あくまでも概念の説明だけをしてい 
ます。)
 
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 東名三好IC?春日井IC間の付加車線設置区間。
 図中の番号は、以下の画像の撮影位置。
 
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 画像1
 三好町福谷
 東名三好ICをのぞむ。
 (2002年8月17日 著者撮影)
 さて、交通渋滞を引き起こす箇所を道路構造別にまとめると下記のようになる。

 1 インターチェンジ・料金所部
       合流、一旦停車での速度低下

 2 上り坂・サグ部
       下り坂から上り坂にさしかかった車が、気づかないうちに速度低下

 3 トンネル部
       トンネル入口の暗がりや圧迫感により一時的に速度低下

 東名高速道路は、平日の交通量が休日を上回る産業道路である。したがって、交通 
渋滞に起因した生産活動の損失は最小限に食い止める必要がある。1969年の全通 
以来、ほぼ全区間に渡り何らかの改良を行った。

 ●「点」の改良

 1 インターチェンジのランプ部の増設、ランプ部の拡幅、アプローチの延長、料 
      金所のブース増設。
   (横浜町田IC、大井松田IC、御殿場IC、豊田IC、名古屋ICなど多数。)

 2 インターチェンジの一般道路との接続ランプの立体化。
   (浜松IC、名古屋ICなど。)

 3 インターチェンジの追加
   (横浜青葉IC、秦野中井IC、裾野IC、相良牧之原IC、掛川IC、磐田 
       IC、浜松西IC、音羽蒲郡IC、東名三好IC)

 4 パーキングエリア、サービスエリアの拡張
   (港北PA、海老名SA、足柄SAなど多数。)

 ●「線」の改良

 1 本線の拡幅
   (厚木IC〜御殿場IC間、日本坂TN区間)

 2 登坂車線の付加
   (音羽蒲郡IC付近(下り線)など。)

 今回は、慢性的に平日の交通渋滞を引き起こす名古屋IC付近の改良区間について 
報告する。
 
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 画像2
 三好町福谷
 東名三好ICの名古屋方面の分岐、合流部
 (付加車線の起点)から東郷PA方面をのぞむ。
 付加車線は、東名三好ICの減速、加速車線を
 延長したかたちで、東郷PAの加速、減速車線へ連続する。
 (2002年8月17日 著者撮影)
 東名高速道路の交通量は、全区間に渡り設計交通量を上回っている。そのため、ち 
ょっとしたきっかけでほぼ終日、交通渋滞を引き起こす可能性がある。関西方面と東 
京を結ぶ高性能の保冷車や路線バスが、夜間においても東名高速道路ではなく中央自 
動車道を利用するケースが多くなった。制限速度が20キロ少なくて、最高地点が1 
000メートルを越え、横断曲線も縦断勾配もきつい。それでも中央自動車道を選択 
するのは、定時性において中央自動車道の方が信頼できるということでしょう。因み 
に距離は小牧JCT〜東京IC(または高井戸IC)間では4キロ、中央自動車道の 
方が長い。

 交通渋滞多発区間はほぼ全区間に存在していたが、順次施された改良により少なく 
なってきた。最大の改良である厚木IC〜御殿場IC間の本線拡幅後は、首都高速を 
先頭とした上り線、および名古屋ICを先頭とした下り線が残った。いずれも平日夕 
方で、週末(木金)、月末の渋滞は深刻である。首都高速については、東京外環自動 
車道の接続を待つしかないように思える。名古屋IC付近については、岡崎IC〜春 
日井IC間の本線拡幅を施しても過剰投資にはならないとは思うが、第二東名高速道 
路や伊勢湾岸自動車道の接続により将来は交通量が少なくなることを見越して、東名 
三好IC〜守山PA間の3区間で車線付加を行った。これらの工事は順次供用され、 
1999年3月までに完了した。

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 画像3
 三好町福谷
 三好付加車線。東郷PA方面をのぞむ。
 (2002年8月17日 著者撮影)

続く