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戦車兵神博行の自衛隊チェック131

(泥棒天国)


(写真と本文は全く関係ありません)


 旧軍の時代より軍隊には泥棒が多い、自衛隊も同じだ。塀の中の世界だから犯
人は同じ自衛官の場合が当然多い、そしてその場合犯人が判っている場合が多い
のが特徴だ。
員数合わせで盗む奴も腹が立つが、金品等を盗み、犯行後必ず財布等を便所の便
器に流す泥棒が居た便器が詰まるので有名だった、犯行は浴場の脱衣所で行われ
ることが多かった、もちろん犯人も皆知っていた。
(写真と本文は全く関係ありません)

 今までそんな泥棒隊員を数名知っている、下宿で泥棒した隊員が逮捕された
ケースが新聞に載ったこともあった。しかし内部で起きた事件は中々警察沙汰に
はならない、内部で処理しようとする。
 そして犯人を問い詰めるのでは無く「盗まれた方が悪い」と盗まれた者を責め
るのが通常だ、これを見て被害者は黙ってしまう。
(写真と本文は全く関係ありません)


 泥棒天国だ、自衛官の下宿も危ない、訓練に出てるのが判ると留守に付け込み
盗みに入る自衛官もいるのだ。Kという士長が他中隊に居た、有名な泥棒だ、皆
知っているが現行犯で捕まえない限り難しい、武器庫で小銃の疑製弾が無くなっ
た時も直ぐに調べようとしたら便所に捨てられ逃げられたとか、先輩の下宿に
黙って入り込んだりいろんなことがあった、そんな時は金が無くなっている。

 付き合いもそんなに無いKが突然私の下宿に来たことがあった。
驚いた、後に演習から帰ったら現金もビデオデッキも無くなっていた。
そいつの中隊の先任士長に相談したら、先任陸曹がやって来た。
下宿点検だと言ってKの下宿の部屋を捜査しに来たのだ。
するとKの部屋には幾つもの鍵がかけられてあった、泥棒の心理をよく読んでい
る、中に入ると高価な品物も多い、そして部屋の中にはどこもかしこも鍵がかけ
てあり厳重だ、先任陸曹と私は警戒厳重な部屋に当惑した。
(写真と本文は全く関係ありません)



 カラーボックスの中に私のビデオテープを発見した、ビデオデッキと一緒に無
くなったビデオだ、先任に報告すると「よくやった、証拠だ」と喜んだ、しかし
Kは「はい、神士長に借りました」と答えたと言う。
結局うまく行かなかった、先任は「奴の方が一枚上手だったよ」とがっくりして
いた。

 中隊長などの幹部は穏便にしたいので決定的で無い限りウヤムヤにしたかった
のだろう、何せ私のビデオと認めているのでは貸した貸さないの水掛け論だし、
盗んだ盗まないの話じゃないのだから…、頭の良い奴だ。結局Kは別の事件が発
覚し皆が知らない内に消えていた。

続く