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『斥候訓練に出る軽武装だ』
戦車乗員も斥候に出ることがよくある、戦車の職種は機甲科だ、同じ機甲科に
偵察隊員もいる。
つまり機甲科職種として偵察や斥候ぐらいは自分たちで出来なくてはならない
のである。
軽武装とは言え道無き道を数10キロ歩き任務を達成しなければならないのだ、
でも私は性格が合うのかなにか楽しい。
「お前は偵察向きだ、偵察小隊に来い」と助教に言われたのを思い出す。 |
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『偵察小隊の偵察警戒車』
今でも忘れられない偵察がある。
仮設敵である73連隊の陣地へ浸透し情報を得て味方陣地へ決められた時間までに
報告に帰ると言う極ありふれた任務だった。
一番よく注意して見るのは地形と障害である、敵兵力も当然掌握できれば尚良い
が、戦車乗員の操縦手ならばその辺を重点に見るのが当たり前だ。砲手と二人で
敵地へ潜入した、話声、天幕や車輌から漏れる灯、敵の歩哨に注意しながら進んだ。 |
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『偵察隊員』
道路上に地雷源や対戦車障害が無いか暗闇の中偵察する、もちろん本物の地雷
源や対戦車障害なんて無い、地雷は木端やスズランテープで現示してあるし、対
戦車障害は石灰でバッテンを道路に大きく描かれてある。
敵の部隊が前からやって来る、素早く側溝に隠れる。
その間溝にへばり付いて敵が通り過ぎるのを待った。
左手に蚊がとまっている、血を吸われているのが判る、神経が異様に研ぎ澄まさ
れていた。
その蚊に刺された所は引っ掻いたのが悪かったのか長く跡が残っていた。 |
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『偵察隊は戦う』
昼間でも通るのに困難な道を通り進む、するとキャリバー50の槓桿を引く音が
した。
心は焦るが沈着冷静に進んだ。
無事中隊長に報告し車長や小隊長に地図を使って報告する。
偵察に出て思うことは、無用な話も結構遠くまで響き聞こえたり、明りも不用意
に点けてはならないと、自分にも戒めた。
よく蚊取り線香の火も見えると叱られたが、そうなのかも知れない。 |
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『偵察隊員はカッコイイ』
同期に偵察隊員がオートバイに跨がりポーズをとっている募集ポスターを見て
入隊を決めた男がいた、希望通り機甲科の偵察隊員として偵察隊に配属になっ
た、しかし第7偵察隊で戦車も装備しているが戦車乗員にされてしまい辞めてし
まった。
偵察隊は斥候手であるが、新隊員の後期教育は戦車の教育を一緒に受ける、予備
自衛官になると偵察出身でも機甲科なので戦車に乗せられる。 |
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『日米共同訓練で歩哨に立哨に立ち有線電話機で報告』
私が歩哨に立っていたら、何者かが近付いて来た、誰何(すいか)する。「止
まれ!、誰かっ』と誰何したらくるりと踵を返して走り去った。
後ろから空包をお見舞いした、3回誰何しても答えなければ捕らえるか刺射殺す
べしと決まっている。
それにしても反射的にくるりと踵を返して去った斥候はベテランだ、通常いきな
り誰何されたらびっくりして立ち止まる者がほとんどなのだから。 日米共同訓
練で宿営地の歩哨に夜間立っていたら、前方の藪に光るものが、気配もある、狐
の目の光でも無い、暗視眼鏡の灯のようだ。
電話機で本部に連絡した、増援の部隊が来て包囲した米軍だった。
米兵も宿営地に近付いたらアッと言う間に包囲され驚いていた。
私は目が良かった、闇夜も普通の人より見えたようで暗視眼鏡をした米兵より
見えていたようである、機械に頼ったら負けだね。 |