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『戦車回収車に牽引される故障戦車』
戦車の整備は乗員がするのが基本だが、A整備、B整備、C整備までだろう。
A整備は使用前、使用中、使用後の整備で操縦手が乗車前に燃料、エンジンオ
イル、ミッションオイル、アワメーターを点検し足回りをハンマーでコネクター
を叩きながら点検する。
使用中は計器類の異常が無いか、走行中の異常も操縦しながら確認する。使用後
は異常があった所は整備し、足回りを点検し運行指令書に走行キロとアワメー
ターの数字、前、中、後の整備の確認を書き込み配車係に提出する。
B整備は月1の統一整備で、オイル等の補充や廃油を捨てたりする。いろいろ
面倒な整備が各段階で行われるのだ。 |
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『90式戦車回収車』
中隊には整備班、大隊、連隊には整備小隊がある、制度が現在は変わっている
ので私が在隊していた頃の話をする。
整備の隊員は新隊員の後期教育までは機甲科の隊員として乗員と同じ教育を受
け、整備小隊に配属される者は整備員としての自衛隊生活が始まる。中隊の整備
班は乗員で配属され、中隊の事情で整備要員として整備班員になる。
整備員になると駒門の第一機甲教育隊で整備の専門教育を受ける。
整備班にある装備は各部隊違う所があるので一概には言えない。
戦車回収車のある整備班もあるし、装備されていない部隊もあるのだ。
しかし整備小隊に行けばある、戦車のエンジンを整備するのに戦車からエンジン
を降ろすがクレーンが必要になる。
装輪車のクレーンもあるし戦車回収車のクレーンも必ず必要になる、D整備(年
一回かある一定の距離を走った戦車を定期的に整備する)や戦車の車検にも必要だ。 |
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『射撃場でエンジンを降ろし整備する戦車』
整備の詳しい段階ややり方をここに書くには戦車の説明や制度など知っていな
くてはならないことが多くて説明するのが私には困難なのでおいおい書いて行く
かも知れない。
戦車の整備は油まみれになったり土で汚れたり、力仕事も多く、そして機械を
良く知らないと勤まらないし、一人では無理な整備もあってチームワークも必要
不可欠だ。
残念ながら写真も少なく、持っている写真も発表するのはまずいような気がす
るし、エピソードも説明しにくくこれくらいにする。 |
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『5施設の作業する75式ドーザ』
私は機甲科で戦車乗員一筋の自衛隊生活だったが、課程教育には大型免許とか
幾つかの教育に行っている。
その中で意外にも機甲職種では無い教育に参加している、『初級施設機械操作課
程』『移動式クレーン課程』だった。 |
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『7施設の73APC搭載の地雷爆破装置』
自分から希望しての教育で『移動式クレーン』は方面直轄の第3施設団で、
『初級施設機械操作課程』は戦闘施設の施設大隊で教育を受けた。
戦車と施設は仲が余り良くないが貴重な体験だった、特に施設大隊では施設科
の隊員でも行きたくても中々行けない教育に施設器材の無い職種から初めて教育
に参加した珍しい隊員となった、他職種の者も大勢参加していたがいずれも自隊
に器材のある隊員ばかりである。
戦車部隊にも施設器材のある連隊があるが、それは施設職種の隊員が操作する
ので機甲科の隊員は使えない。
ドーザ戦車があるだろうと思うかも知れないが『初級施設機械操作課程』の教育
を受けてモス(特技)を取得する必要も無い。
いろいろと手を使って行ったのだった、詳細は秘密、しかし中隊にはこの課程
教育で教官を務めた経験のある古参陸曹が居た、彼は施設から機甲へ転科した人
だった。 |
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『2施設大の89式地雷処理車』
施設は旧軍では工兵と言われ、大きく分けると第一線部隊に追随し敵前での戦
闘を支援を任務とする戦闘施設(主に師団の施設大隊)と、高度の専門技術に
よって道路の補修や架橋といった兵站支援を行い作戦全般の支援に寄与する『建
設工兵』のような任務をする方面直轄の施設団がある。その装備には余りにも多
岐である、施設団の施設はよくPKOに主力を派遣したりしている、もちろん編
成の中には戦闘施設の隊員も多く参加しているが、道路を補修する装備は施設団
所属の施設群や器材隊にあったりする。 |
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『第3施設団の車輌』
しかし施設隊員に話を聴くと、同じ施設職種でもモスが違い、施設大隊から方
面直轄の施設団には転属とかは簡単に出来ないそうだ。
それくらい扱う物も訓練も大きな違いがあるのだ。
奇しくも私は両方で教育を受けた経験があるが、施設団で教育に使用した移動
式クレーンは何種類もあってメーカーが違い、操作に手こずった覚えがある、つ
まり民間の作業器材と同じ物が多いのだ。 |
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『92式地雷処理車のロケット弾』
自衛隊特有の装備、例えば施設作業車とか75式ドーザ、92式地雷処理車とか戦闘
的な装備は師団の施設大隊にあったりする。 |
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『94式水際地雷敷設装置』
もっとも浮橋、架橋、水際地雷敷設装置、なんて装備を施設団も装備している。
余り馴染みの無い施設器材も多く、施設団に見学に行くと面白いかも知れない。
もっとも模擬戦闘訓練展示とかは余りやらないが…、個人的には自衛隊を辞めて
も潰しが効きそうで転職には有利そうだ、自衛官の多くは54歳が定年だから再
就職が必要だ。 |