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戦車兵神博行の自衛隊チェック85

(各種架橋)


『自走架柱橋を架設する81式自走架柱橋』


 戦車は演習場の道路を破壊し傷め、施設はそれを整備する、そんなことから自
衛隊の街恵庭に居た頃、繁華街では北恵庭の戦車と南恵庭の施設が良く飲んでは
喧嘩していた。
今は自衛官もだいぶおとなしくなったのと、南恵庭に73戦車連隊が移駐しのでそ
んな光景も見なくなったが…。
『7施設大の92式地雷処理車』


 私が施設大隊で教育を受けた時、施設大隊の大隊朝礼に参加して『施設は戦車
が嫌いなんだなぁー』としみじみ思った経験をした。
朝礼では安全管理の教育を各中隊持ち回りで実施していたようだが、ドーザーを
扱う注意事項を寸劇で面白く隊員が行っていた。

その時戦車の小隊長らしき人物が登場し、『今晩中に戦車掩体を100個掘っ
て、切土式にね』と軽く言って去って行った。
施設隊員は大爆笑だったが俺は恥ずかしくなった、確かに100個は大袈裟だ
が、お願いする…、だって戦車掩体を戦車乗員で掘るのは物理的に無理、それで
も施設が配属になって訓練するのは希なので施設が来たらお願いするしかない。
『施設団の器材、先端がくるくる回る』


『切り土』とは掘った土を前に投げて盛り土にしてごまかすと、どんなに草を植
えて偽装してもばれるのでやってはいけないと厳しく教育されていたから前方を
盛り土せず切るように掘る、乗員4名と言っても全員では掘らない、小隊でまと
めて掘るにしても数は一輛で最低2個、もっと多い時もある、掘れる訳ないじゃ
ないか!、でも掘らないとならない。
戦争とは厳しいのだ、演習も厳しい、だって掘った穴を訓練終了後埋め戻しに行
かなくてはならないのだから。

 施設と戦車が中が悪いというのも今は知らない、だって北恵庭では1群と連隊
とも仲はあんまり良くなかったし、でも施設との喧嘩の時は団結していたな不思
議と、もう昔の話である。
『92式浮橋』


 方面直轄部隊の第3施設団のある南恵庭駐屯地には少し縁がある。
いろいろとあるのだが、大きなものでは教育に3か月いたのと普通科テスクの仮
敵部隊として1か月くらい南恵庭駐屯地の体育館で生活した。
体育館での生活では奥尻を襲った大地震に遭遇、体育館の床が波打ち天井のライ
トが物凄く揺れて恐怖した。
 私の玉掛けの免許には『第3施設団長』の印が押されているし、予備自衛官の
訓練でもお世話になった。
『94式水際地雷敷設装置』


 知り合いも少なからずいるのだが、装備について説明出来るほど知らない。
 質問も良くするのだが、余り答えが返ってこない、秘密を守っていると言うよ
り『こいつなんにも知らないな』という感じが多い。
つまり土方の一作業員が多いようだ、一人一人は素晴らしい技術を保有している
のだろうが、軍事的な話は知らないと言うより無関心なのだ。
『軽徒橋』


 予備自衛官の教育招集でワックの幹部自衛官が担当になった。
普通なら職種毎の訓練だがこの時は後方職種と戦闘職種に別れての訓練があっ
た、個人的には後方職種の訓練の方が見たかった。
相談しに行ったら『90戦車が見れますよ』と言う、『90戦車ならこの駐屯地に
ありますよ』と言うと驚いていた、73戦車連隊の舎前にその時は90戦車が駐車し
ていた。
『パネル橋MGB』


 戦闘職種の訓練と言っても東千歳駐屯地にある私には御馴染みの装備を見学す
るだけだった、後方職種は浮橋訓練の見学だったのに…。
 その時ワックの幹部が戦車に触り汚れて固まった黒い油が手に付き汚いなそう
に戦車に拭っていた。
油と汗そして埃にまみれる世界とは程遠い感じがした。

 俺の施設へのイメージは戦闘施設だ。
戦闘部隊が地雷などの障害があれば『施設前へ』で我々の前を駆け足で通り過
ぎ、障害を処理する頼もしい人達だ。
 以前師団の作業で各部隊から作業員が出た、戦車の長で俺は行き、一部の施設
隊員も指揮下に入れた。
『MGBを架橋する施設隊員』


 その時思ったのだが、戦車の隊員は重い物を持つ場合は絶対に一人では持たな
い、理由は危ないし連携プレーでやった方が結果早いからだ。
しかし一士の若い施設隊員は『無理しないで二人で持つように』と指導する私の
意見など無視し『これくらい一人でやれますよ』と当たり前だと言わんばかりに
仕事を黙々とこなしていた。
 施設って頼もしいね。
『MGB架橋する施設隊員』


 私が新隊員後期(職種の基本教育)の時には施設の陸曹も教育隊に居た。一度
だけ地雷を隊員の手で埋設したり、地雷探知の訓練をやったことがあった、匍伏
前進で銃剣を地面に少しづつ刺しながら前進するのは大変だ。 別海で演習をし
た時に戦車隊員の手で戦車の通れる橋(手作り)を架けたが一輛通過で崩れた、
施設と戦車の共同訓練も必要だと思う。

続く