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戦車兵神博行の自衛隊チェック60

(不発弾捜索)


 自衛隊は日常毎日演習や射撃とか訓練ばかりしている訳ではない。
演習や訓練で使った装備の整備や、訓練を行う演習場の整備も行う。
広い演習場は近隣の各部隊に地域が割り振られ整備する。
『演習場整備、後方はバックストップ(停弾堤)』

大きな演習場整備は春と秋に行われる、まず行われるのは野焼きだ。
演習場の草などを大がかりに刈り、防火帯を作る。
その際弾着地などは不発弾の捜索も同時に行われる、結構出てくる。
特科の砲弾もあるが、なんと言っても一番怖いのが迫撃砲弾の不発弾だ。
以前11特科連隊の隊員が爆死している、この時もこの作業のことだった。 そん
な中、古参の陸曹はせっせと山菜を捜索している。

野焼き前に不発弾を見付けないと後日野焼きの時爆発して危険なのだ。
 禁止されているが弾などを発見すると隠して持ち帰る者もいる、爆発の危険性
が無ければ気持ちも解る。徹甲弾のような弾種なら心配も無いが危ない弾もあ
る、種類が解り安全が解るなら隠して持ち帰るのも規則に反するが理解できる、
でも全く知識も無いのに持ち帰る人もいる。

 他師団でやはり不発弾か弾頭(火工品とも呼ぶ)を持ち帰った営外陸曹がそれ
を自宅前に置いておいたら子供が悪戯し死亡する事故が起きた。
自衛隊では徹底して火工品の調査をして隊員に持ち帰った不発弾は無いか調査し
た、その時衛生小隊の衛生士長のロッカーから迫撃砲弾の不発弾が発見され調査
していた幹部が床に伏せたという話を聴いた、当の衛生士長は『なにやっている
の?』と不思議そうな顔をしていた、それがどんなに危険な物か全く知らなかっ
たのだ、怖い話だ。
『油を付けて燃やす』


 野焼きの話に戻る。
ちなみに戦闘服は燃えにくい材質だが、ノーアイロンとかの戦闘服は火がつくと
身体に引っ付き燃えるので、着ないよう指導される。
安全のために鉄帽を被り防護マスクを携行している、人為的に山火事を起こすよ
うで不思議な世界だ、あっと言う間に火が走って行く、稜線から稜線へと火が燃
え移る光景は壮観だ。       
遠くからでも煙りが出て野焼きをやっているのが解る。

 稜線から稜線へと歩くので結構疲れるし半長靴も熱を帯びて熱くなる。 そう
言えば教育隊を出て実戦部隊へ配属になった時に最初にやった仕事が駐屯地の草
刈りだった。

続く