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大手英米メディアの自衛隊報道
<番外編> 米政府のブイブイ対日メディア攻勢7

(報告:常岡千恵子)



ボルトン米国務次官の米国&海外メディアとの懇談
                    −2005年2月10日、米国大使館にて

詳しくは、http://tokyo.usembassy.gov/e/p/tp-20050210-64.html

Q: 日本の対北朝鮮経済制裁については、話をしたか?
    (以下、質問は要約のこともある)


A: ああ、イエス。


Q: もっと詳しく教えてほしい。


A: ご存知のように、米国が、基本的に、北朝鮮との経済取り引きを
全面的に禁止してから、かなり経っている。
  これらの制裁は、基本的に単独で、さまざまな異なる文脈で発動され
ており、われわれは他国政府に「制裁を発動するな」といえる状況にない。
  制裁をやめろと言うことは、われわれにとって難しいし、われわれは、
そう言っていない。

  しかしながら、今週、いろいろな省庁のさまざまな日本政府の人々と
の話し合いの中で、去年国会で成立した制裁を発動させる法律を適用す
るかどうかについて、政府内部で真剣に熟考を重ねているという、強い
印象を受けている。
  だから、いずれにせよ、彼らが軽率に決断を下すとは思わない。

  思うに、先ほども述べたとおり、この決定に際し、彼らの真剣さと考
慮の深さに感銘を受けている。
  だが、基本的に、これは日本の決定事項であり、彼らが決めることだ。
  彼らはこの件をわれわれに相談してきた。われわれは、もちろんこれ
を歓迎するが、決定は彼らが下すべきことであり、米国は、その決定が
いかなるものであっても尊重する。


Q: 来週後半に開催される2+2(日米安全保障協議委員会)で、在
日米軍と日米同盟について、"不安定の弧"に対処するような役割の拡
大など、広範な声明が出されるといわれているが?


A: そのことに関しては、外務閣僚と国防閣僚のみが、発言すること
になっている。彼らが発言するまで、私はコメントを控えたいと思う。


Q: 全般的な理念は?


A: まず、"上司の邪魔はするな"ということだ。日米間では、政治的
軍事的課題についての2国間の話し合いが増えているが、その全体的な
テーマは、これまでも成長してきたし、今後も成長し続けることを望む。
  これは、確かに日本の自衛隊のイラクでの展開や、その他のさまざま
な文脈に反映されている。

  われわれは、こうしたことを歓迎してきた。たとえば、日本がPSI
の中核メンバーであり、10月に"チーム・サムライ"訓練を開催する
意志を持ったことだ。

  私は、これを特別な状況という扱いはしない。これは、増強された政
治的軍事的対話の一部であり、今後予定される2+2の理念で示される。
  実は、いつ開催されるか、まだはっきり決まっていないと思うが、と
にかくもうすぐだ。


Q: 日本が台湾海峡を日本の安全保障上の課題としていることを、米
国はどう見ているか?


A: 日本が何を安全保障上の課題と考えるかは、明らかに日本が決め
ることだ。
  だが、全世界に関わっているという米国の性格上、われわれも、確か
に台湾海峡の安定に、深い関心を抱いている。
  だから、日本もしくは他国が、その安定に関心を持つと表明すること
は、われわれにとってすべて有益だ。


Q: 昨日、日本は再び尖閣諸島の領有権を主張した。東京杜知事は、
南にある別の島で、何かしようとしている……


A: 承知している。昨日、彼に会った。それについては、彼から説明
を受けた。


Q: オトコノシマ


A: "岩"


Q: そう、その岩だが、これをどう見るか? 日中間の緊張は高まって
いるか? 2,3ヵ月前に"チーム・サムライ"で来日した頃との、心
理的な変化をどう見るか?


A: 中国の軍事力増強については、われわれは、中国の太平洋へのパ
ワー・プロジェクションの将来性にとくに注目していると思う。(略)

  日本は、国内の政治的議論の過程で、多くの日本人政治家や評論家が
呼ぶところの"普通の国"という理念の方向に進んでいると思う。
  自らの防衛と安全保障は自ら担うべきだとする"普通の国"は、われ
われにとって何ら問題にならないと考える。

  そして、日本が自らの課題を定義するかについて決定を下す時は、わ
れわれと話し合いをすることは自明の理だと思う。(以下略)

。。。。。。。。。。。。。

  ここで一旦小休止させていただくが、読んでおわかりのように、米国
務次官は、北朝鮮への経済制裁について、米国&海外メディアに向けた
回答では、日本のメディアへの回答よりも、より否定的なニュアンスを
含ませている。

  また、米国&海外メディアとの懇談では、拉致問題にいっさい触れて
いない。

続く