君はひとり 戻ってきた
君も私を人混みの中から見つけたんだね
迷わず駆け寄った私を
君は変わらぬ優しい瞳で抱きしめた
「眠れない夜に君のことを思い出すんだ」って
家まで送ってくれた別れ際
歩き出した君がもう一度振り返って
「電話するから」と言って立ち去った
都会の喧騒を外れた昼下がりの公園で
私が作った手料理を
君が恥ずかしそうに食べるのを見てたら
なんだか私まで恥ずかしくなった
叶わぬ恋と知りながら
森の中でさり気なく腕を絡めた君の
恋する無邪気な瞳をみつめて
愛しい弟よ 今だけは一緒にいようよ
イスラームの勉強をしたいと
瞳を輝かせていたあの頃を
もう君は忘れかけていたのかもしれない
「僕はここで時間を失っただけだ」って
希望を失った君にそっと掛ける言葉も見つからなかった
「男はみんな戦ってる 僕は男じゃない」って
君の絶望が私の胸を締めつけた
愛しい弟よ 私、君を守れなくて苦しいよ
きっと私は君を傷つけていたのかもしれない
君を知らないうちに苦しめていたのかもしれない
去って行く私を引き止めなかったのは
「神が望むならまた会える」と信じているからだったの?
本当は最後にきちんと君に伝えたかったよ
遠くに離れても君は私の弟だって
もしもこれから君に会えなくても
愛しい弟よ 君が大好きだよ |