バリ島−ロンボッ島間のフェリー。
私は何度か行き来しているけれど、必ず一回は「ポーター小僧」にやられる。
「ポーター小僧」とは、私が勝手に名づけたのだけれど、勝手に荷物を運んで
くれる子供たちのことだ。
フェリーに乗りこむまで、パタンバイという港町で待ち時間がある。
バスから降りて、リュックをおろしてジンジャー・ティなんか飲んでホッとし
てると出発近くに小僧たちがリュックを勝手に運んでいくのだ。
頼んでもいないのに...。
しまった油断した。また、やられた...。
私も間抜けな日本人だ。彼らにしてみればいいカモだろう。
フェリーまで運んで ”thirty-thousand(30,000.RP) ! ”
と小僧はめちゃめちゃ嬉しそうに手を出す。
”エーッ!まってよ!ten(10,000.RP)にしてェ!”
”no〜!thirty〜!”
小僧はめちゃめちゃ強気だ。
フェリーの出発の合図、ボ〜〜〜っと汽笛が鳴る。
”えっと〜じゃあ真中とって20,000にしよう!” と私は20,000.RP パッと
差出し荷物を奪いとり、フェリーの中へトットと入っていく。
”あ〜またやられちまったよ〜。でも前回より要求額が多くなったなあ〜”
物価高のせいだろう、なんて悔し紛れに思い出したりする。
これが不思議なことに帰りのフェリーだと、やられなかったりする。
日に焼けて、私の行動モードもこっちのモードになるからだろう。
やられるのはきまって、初日か旅の始めだ。
このポーター作戦は、日本人にはつくづく不利だと思う。
周りを見まわせば、体格のいい西洋人バック・パッカーばかり。ヤツらの荷物
の大きさは半端じゃない。半年、あるいはそれ以上の期間をかけて旅している人
たちの荷物だ。小柄なアジア人なら一人スッポリ入ってしまいそうな大きさだ。
それでやはり体格の似た、しかも言えばすぐお金をだす日本人がポーター小僧
の狙いになる。
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ロンボッ島・バンサル港では、物売り攻撃だ。
虫除けスプレーを売りつけにきた。
”I have !” と、いくら言ってもシツコク売りつけてくる。
私の周りにいた白人も、あまりのシツコサに同情してくれたのか私に助け舟を
出してくれたが、かえって物売りは頭に血がのぼったらしく、
”ジャマをスルな!俺は日本人と話しているんだ!”...
私は 「あっ、やば。こいつ、マジや...」
値段交渉で買える範囲なら買ってしまって、早くキリをつけて立ち去った方が
いい。そうおもい、交渉しはじめたが、どーにも値がさがらない。
ジョーダンで ”Ten-thousand(10,000RP)では?” と言うと、”OK!だ”
と返ってくる。内心、ほんまかいなあ〜?とルピアを差し出すと、
”なにを言ってるんだ!ルピアじゃない!ドルだよ、10ドル!!”
威しにに近い口調に私も切れた!
”いーかげんにせい! いらんと言っとるやろがぁ!” 日本語でまくしたて
て荷物を持って浜辺へ向かい歩きはじめた。
私の後から、ツーリスト・バスの案内人が多少バツが悪そうについてくる...
日本人が来ればこの案内人はきまってあの店へつれて行くのだろう。
本当に必要なモノならば買っていたかもしれない。
けれど、必要以上のモノで、しかも日本で買うより高い値段を言われたので
は、私も払いようがない。
時間もかかるしフェリーのトイレは汚いし、ポーター小僧にはやられるし、
なぜ便利な移動方法をとらないのか、、、。
自分でも、なんでかなー?と思う。
飛行機ならあっという間の25分なのにね。
帰りのフェリーで、私が2,000.RPのナシ・チャンプルを食べていると、
物売り小僧たちが何分かおきにやって来て、”ウォーター、ウォーター!”
とミネラル・ウォーターを売りにくる。
ツバをとばして言ってくるので、
”ご飯食べてるんだから、やめてよね!”と不機嫌な顔で私ははねつける。
ボ〜〜〜ッ.....フェリー出発の時間。物売り小僧退散の時間だ。
小僧の1人がトントンと私の肩を軽くたたいて、 ”またね!” とニヤッと
笑って去っていった。
最終ラウンドは私の勝ちだったのかな、、、ひとりでそんなコトを思った。
バタバタとフェリーから降りていく小僧たちが、やけに逞しくみえたりもした。
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