軍事マニアなら必修科目ともいえる名著で、第1次世界大戦の開戦初頭モノ。
著者も翻訳者も女性である。カトケンが初めてミリヲタ少年として読んだときに
は、良さは、わからなかったが、戦場野郎を辞めてから読み直してみた。
第1次世界大戦当時、大きな軍隊組織を1つの戦略目標に向かって動かすこ
とが、いかに難しいことかがわかる。味方の部隊同士の連携を取るだけでも大変
なこと。戦争とは、敵味方両軍とも間違いや失敗だらけで、ミスがちょっとでも
小さい方が勝つということがよくわかる。本書は、全軍のミスやダメな点に主眼
を置いた戦史書ともいえ、そこが戦争の泥臭さを表している。
英仏独露それぞれの上級司令官たちの人間関係や人格が淡々と描かれていて、
そのような人間臭さが、大戦争の行方を決める着眼点が、さすが、繊細な女性著
者。当時だと、ヨーロッパのどの国でも、軍の司令官クラスは、貴族の・・卿と
かなので、こっちの貴族とあっちの貴族のプライドのぶつかり合いなどがあり、
簡単に、こっちの部隊をあっちの部隊のサポートになんてことはうまくいかず、
貴族たちはプライドの許さない命令には従わない。
そんなこんなが描かれた「八月の砲声」は、新しい情報ばかり追いかけるイマ
ドキ風な生き方の人は見向きもしたくないかもね。第1次世界大戦は、歴史とし
ての戦争と、犯罪としての戦争の境界線ともいわれてて、戦争を勉強する上では
大事なとこなんだけどね。
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