本を読むこと書くことを職業にしている人は、蔵書が増えがちで、ぼろアパートに住んでると床抜けしてしまうのではないか、という不安から描かれた本である。いろいろな有名作家に直接訊いたり家を訪問したりしている。
意外とマジメな本だ。本の置き方なども、寸法や耐荷重まで調査している。本人にとっては、床抜けで賠償させられるかもという心配事なので、詳しく調べて考えてまわっているのだが、同じ問題に直面していない人にとっては、わかりにくいかも。図解を多めに使えばわかりやすいと思うのだが、図解に頼るのは、文章家として逃げになっちゃうかな。
カトケンのコメントも出てくる。カトケンは、書籍の増えすぎで困ったことはなく、自分が取材や調査をして得た資料の増えすぎで困ったことはあった。独自資料なので、突発的な原稿依頼を受けたときに非常に役に立つため、捨てられずにいた。しかし、バグパイプ奏者に転職して8年目くらいから、処分を決行。
処分によって依頼仕事を受けられなくなることも多発したが、過去の自分を引きずらないために、可能な限りの資料廃棄を決行した。
そんな中、独自資料でもない刊行物のに捨てるのをしばらく渋っていたのが過去地図だ。まあ、そういう趣味の男ってことだね。同じ紙の分量の中に押し込められた情報のの質と量という点で、地図に比べたら、他の書籍なんて内容が薄っぺら、というのがカトケンの価値観だし。
本書「本で床は抜けるのか」は、キッチリ調べてまわってる非常にマジメな本なので、カトケンの読書速度ではなかなか読了できない。タイミングを逸してしまいそうなので、約半分の時点でこの感想文を書いている。ここまで読んだ感じでは、なぜ、文筆家の多くが他人の書籍を何千冊も何万冊も保持したがるのか理解できないままだ。その「心」については最後まで読めば触れられてるかな?
元風俗店突撃ライターだった西牟田靖くんだから「本で何回抜けるのか」的な内容が後半で出てくることに期待・・・・。
(2015,3、加藤健二郎) |