山王カーブ拡幅による下部構造は、当方の想像を超えるユニークなかたちに
なっ た。走行の安全には理想的な左側1車線の拡幅である。これにより新たな
道路用地買 収を回避できる。そして、橋脚は、既存の橋脚を伸ばして、延長分
を支えるためにも う1本橋脚を追加する。橋脚は本線と直交するかたちなの
で、そのまま延長すると山 王橋交差点内に突き出てしまい、もう1本の追加が
難しくなる。無理をすれば交差点 を横断して歩道側に追加することもできる
が、そこには4号東海線の高架が設置され る。そこで、延長分を途中で曲げ
て、下の公道の中央分離帯に追加する橋脚が支える かたちになった。
(◆模式図1を参照。)
名古屋高速の構造物の中で、最も派手なのはダブルループの黒川Rだと思う
が、当 方は山王カーブのように施工経緯での苦労が見え隠れする箇所に魅力を
感じる。 |
◆模式図1
名古屋高速(R)都心環状線 山王JCT(山王カーブ)改築概要図。
黄緑が一般道路の中央分離帯。
薄青が拡幅部分。
高速高架線と交差する黒線が橋台。赤線が追加する橋台。
黒丸が橋脚位置。
(いずれも概要であり、橋台、橋脚はわかりやすいようにデフォルメしているた
め正 確ではない。下の一般道路の車線を疎外しないかたちで橋脚が配置され、
そのため橋 台がアンバランスに見える曲がった形状になることを表現している。)
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山王カーブの拡幅により4号東海線の余地は食いつぶされたかたちになる。4
号東 海線の施工も始まっていて、2009年度には開通する予定である。山王
JCTにお いては、すでに4号東海線分の拡幅部分を支える橋脚の工事は始
まっている。山王 通、江川線いずれも歩道側に1本橋脚を追加するかたちになる。
高速本線の車線運用は、2006年現在までは、都心環状線東別院入口の手前
で3 車線から2車線に絞られ、東別院入口の合流を経て、2車線で山王カーブ
を通過し て、4車線に拡幅されて新洲崎JCT方向に向かう。東別院入口前後
の区間は左側1 車線を使用しないかたちになっている。2007年度に山王
カーブ拡幅が完了すると 山王カーブ終端まで本線3車線が解放される。そし
て、2009年度に4号東海線が 開通すると、高架上に未使用箇所は無くな
る。(◆模式図2を参照。) |
◆模式図2
名古屋高速(R)都心環状線 山王JCT(山王カーブ)改築変遷図。
高速上写真撮影位置図。
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