予算の少ない地方の道路行政も、ハードよりもソフトが重要である。既存のイ
ンフ ラを有効活用させるために、市街を拡大したり、流通原因となる企業を誘
致したり、 また集中する交通リンクを分散させる方策も考えなければならな
い。このとき、些細 なことと思われるような利用者の立場にならなければわか
らないことにも気を遣え ば、それがソフトを重視したことになると思う。
たとえば、先述の札幌都市高速の私案ですが、道央道の北広島ICと都心を結
ぶに は意味がある。高速道路から都心までの最短アクセスならば、札樽道の新
川ICか札 幌北ICあたりから都心まで3キロほど建設すれば済む。しかし、
わずか3キロで別 料金の都市高速を利用するだろうか。また道央道と札樽道の
札幌南ICと札幌西IC の間は均一料金区間である。
札幌圏外からはここまでの高速料金と均一料金、さらに 都市高速の料金を支
払わなければならない。たとえETCで料金上の一旦停止が避け られ、何らか
の料金割引があったとしても日常的に利用するには迷いが生まれそう だ。ま
た、札幌都市圏の道路は東京、大阪に比べて渋滞は少ない。高速道路はおおむ
ねスムースに流れている。遠回りイコール遅延である。需要の多い道央道千歳方
面か ら新川IC付近を経て都心に向かうのは「の」の字状のルートになり、敬
遠されるだ ろう。
高速道路の均一区間を経由せずに最短距離で都心にアクセスするルートは北広
島ICから直接都心にアクセスするルートが妥当と考えた。道央道岩見沢方面と
札樽 道小樽方面から都心へのアクセスは既存の均一区間の新川IC、札幌北
ICなどで十 分だろう。都心までの3キロは一般道路でも数分である。
まあ、これはあくまでも当方のお遊びで、もし本当に札幌都市高速が建設され
るこ とになったら大変だ。広島市や北九州市のように需要に見合わない莫大な
投資が財政 を逼迫していくことになるはずである。 |
◆写真3
札幌市中央区南2条西
創成川通
北行き車線、大通西1方向をのぞむ。
(2006年5月25日、著者撮影。)
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久々に札幌市営地下鉄に乗車してみて、なんとなく「あっさり」した雰囲気が
あっ た。最初はその理由がわからなかったのだが、そのうちに広告が少ないこ
とに気づい た。広告スペースが元々少ない構造ならば、車内のデザインに溶け
込み違和感はない のだが、「枠」だけ存在して、広告主がつかない状態ではい
かにもさびしい。
当方は 道路以外のことには疎いが、北海道経済は好況ではないのかといらぬ
心配をしてしま う。わずか120億で1.1キロのトンネルを建設する創成川
連続アンダーパスに対 して市民運動が盛んであることは、慎重な行政を促す良
い傾向である。この100倍 を超える費用で16キロのトンネルを建設する外
環道の東名高速と大泉JCTの間 は、いくら東京がリッチであっても、無茶で
ある。環境影響を問題にして市民運動を するのではなく、東京の財政破綻を防
ぐためにも動いてもらいたいものだ。当方は市 民運動には一切関わりたくない
と考えている。市民運動の多くは、自分さえ良ければ それでよいという考えが
見え隠れするからである。オレの家の前に道路なんか作った らうるさくて眠れ
ないし、地価が下がるから反対である。これは、隣の家の前なら作 ってもいい
ということである。
この道路を作っても誰も走らないし、建設費用が高す ぎて財政が破綻するか
ら反対ということならば、少しは関心があるのだが。実は、創 成川連続アン
ダーパスの市民運動には少しは関心がある。この道路の沿道は商業地で 住民は
いない。トンネルで、開通後は緑地化されるため環境に問題があるとは思えな
い。もったいないから反対しているのである。すでに着工しているので、もう後
戻り はできないが、注視していたいと思う。また、今のところ無駄な投資があ
まり見出せ ない札幌圏の道路行政については、ほかの都市への手本として着目
を継続する。 |
◆写真3
札幌市中央区北7条東
創成川通
南行き車線、大通東1方向をのぞむ。
このあたりには創成川アンダーパスは到達しない。創成川を挟む創成川通りの原
型で ある。アンダーパスのある区間は、アプローチ区間が片側4車線で、原型
に近い構造 になっている。トンネル区間は南北各方向の中央2車線ずつが緑地
公園になってい る。アンダーパスの連続化により2箇所のアプローチが無くな
り、トンネル区間が長 くなる。この区間は中央に小川の流れる広大な緑地公園
として歩行者に開放される。 建設費用に目をつぶれば、文句のない道路行政と
思われる。
(2006年5月25日、著者撮影。)
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(2006年6月25日、脱稿。) |