ヒマヒマバブル絶好調道の川柳・森川晃

佐賀県が注目されている 5



【おまけ】
 インフラ整備はいつも将来を予測して計画、施工しなければならない。例えば
19 85年3月20日、名古屋港に名港西大橋という2車線の斜張橋が架けら
れた。これ は名古屋環状2号線という名古屋市を周回する都市高速道路の一部
として設計、施工 されたものである。供用当初は港湾部のローカル利用だけ
で、大型車混入率は高いが それほど交通量は多くなかった。

 ところが、この橋が伊勢湾岸道路の一部に組み込ま れて橋の端部が延長され
るようになると状況は一変した。伊勢湾岸道路は第二東名高 速道路と第二東名
高速道路をつないで、新たな東海道幹線になるのだ。現状の2車線 の橋は、都
市高速道路規格の3車線の橋の第1レーンと第3レーンを使って対面通行 して
いたので、都市高速道路規格だが何とか3車線は確保できる。これを西行きレー
ンとして、南側に東行きレーンとして都市間高速道路規格の3車線の新橋を架設
し た。

 先行供用していた区間を含め6車線の本線になり交通量は10倍になった。
20 05年には東名高速道路と直通することになり、さらに交通量は増えるだ
ろう。第二 東名、名神が接続すれば、1日あたり10万台を上回るのではない
だろうか。現状の 名阪間のルートである名神高速道路は実は北に大回りしてい
る。高い確率で名神高速 からのシフトが考えられる。名港西大橋は、魚ならば
出世魚である。

◆写真7
名港西大橋
左側が追加架設中の西行き用の橋、右側が暫定交互通行で供用中の東行き用の橋。
(1996年9月27日、著者撮影。)
需要を欲するところには供給がなく、欲していないところに供給される。困った
現実 である。戦後からバブル期までは、オイルショックなどいくつかの低迷期
はあった が、おおむね需要は漸増傾向にあった。東名、名神は計画時から採算
性は確実だった が、危ういと思われた東北道、山陽道など主軸の多くも問題が
なかった。しかし、こ こまでである。主軸と直交する横断道路で問題がないの
は関越道だけである。それ以 外の区間は需要がないと見込み暫定2車線で供用
しているが、道路用地は4車線分確 保している。

 ところで、需要増によりフル規格化されている区間は思ったより多い。 東海
北陸自動車道、上信越自動車道など、なぜ最初からフル規格にしなかったのかと
疑問に思う区間もある。高速車と低速車の速度差の大きい閉鎖空間という高速道
路の 構造上の問題のせいだろう。採算性と構造の関係において、不採算路線で
もフル規格 にしなければパンクする境界線があるようだ。

 さて、一般道路には(主としてバイパスには)案外未使用の道路用地が多い。
いつ も渋滞しているのに、なぜフル規格にしないのかと不満に思っているドラ
イバーは多 いと思う。特に通勤などで定期的に同じ時間帯を利用していれば、
その機会は多いだ ろう。別に意地悪で暫定規格で供用しているわけではない。

 (フル規格で4車線の道 路を2車線の暫定対面通行で供用している場合の)
フル規格化の目安は、1日あたり の交通量で30000台くらいである。いつ
も渋滞していると感じているのは、渋滞 している時間帯を選んで利用している
のである。ピーク以外の交通量が多くないので 1日あたりにすれば30000
台に満たないのだ。道路を造る側は、交通量が目安に 達するのを待つしかな
い。ピーク時の渋滞が致命的な場合は例外としてフル化される ことがあるが希
である。これは、観光地の道路事情と似ている。

続く