環八通りは全線で44.2キロの一般道路である。環八通りの南端は、東京湾
岸道 路(R357)や首都高速湾岸線の湾岸環八Rと接続する地点で、ここか
ら大田区、 世田谷区、杉並区を縦貫して、練馬区南田中で途切れる。2004
年現在の環八本線 はそのまま笹目通りに通じて谷原方面に直通しているが、環
八通りは南田中から北東 に向かう。
南田中から目白通りまでの2.7キロ※が未開通で、目白通りとの交差点(環
八本線 は練馬中央陸橋)から川越街道までの区間は開通している。一部(平和
台駅付近)に 幅員が本来の規格に達していない区間を含むが、2004年現在
は用地買収済みと思 われる箇所もほとんど見られないので、当面は状況注視だ
ろう。なお、本来の規格は 25メートルから44.5メートルで、車線数は4
車線から8車線である。8車線は 立体交差区間の本線と側道を併せた車線なの
で、本線としては4車線または6車線で ある。1車線の幅員は3.5メートル
以下なので、歩道や中央分離帯(右折レー ン)、路肩に余裕のある断面にな
る。既存道路の改築で代用した区間以外の新築区間 はすべてこの規格である。
川越街道から首都高速5号中台R(ランプ)北側の高架下 までの2.0キロ
が未開通だが、ここから国道122号と接続する赤羽交差点までは 開通してい
る。この区間は、長い間狭い既存道路で代用していたが、フル規格に改築 され
た。ただし、交差点の立体化は実施されていない。立体化については、世田谷区
などにも複数予定されているが、実施の目処については不明である。
つまり、フル規格ではないが本線だけはなんとか残り4.7キロに漕ぎ着けた
のだ。
※南田中と目白通りまでの区間
この区間を2.7キロとしているが、目白通りとの交差点までは1.9キロで
あ る。2004年現在目白通りとの交差点から川越街道までの区間は開通して
いるの で、正確には1.9キロとすべきだが、環八通り本線の立体交差区間で
ある目白通り をオーバーパスする練馬中央陸橋は未開通である。したがって、
練馬中央陸橋区間を 含む2.7キロを未開通区間とした。なお、東京都の
WEBサイトでも未開通区間を 2.7キロと記している。
次項以降に環八通りの整備経緯について各時代の状況を記す。
ところで、地名や道路路線番号、愛称などは、当時のものではなく2004年
現在 の呼び名で表記している。例えば第一京浜は1946年には国道1号だっ
たが、この 報告書では現在の15号で表記している。
【1946年】
環八通りは全線が3月に都市計画決定した。大東京道路網計画に組み込まれて
から 19年前を経ているが、これまでの期間では新築は実施されず、既存の道
路を代用し ていた。したがって、環状道路としては機能していない。もちろ
ん、その需要もなか ったので問題はなかったが、このとき名古屋市や京都市、
広島市などのような大英断 で道路整備に着手していれば、東京の道路事情は格
段に良くなっていただろう。
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◆航空写真2
1947年の環八通り予定区間の状況
(大田区大鳥居交差点から南蒲田交差点まで)
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羽田空港から産業道路と交差する大鳥居までは既存道路が存在している。産業道
路の 幅員に比べてかなり狭いことがわかる。大鳥居交差点では、環八通りと産
業道路の交 差にさらに京浜急行空港線が交差している。そのため環八通りは京
浜急行線の踏切を 挟んでT字交差が連続するかたちになっている。大鳥居交差
点以西も第一京浜の南蒲 田交差点まで既存道路が続いている。南蒲田以西も連
続しているように見えるが、東 海道線の手前で切れている。
(空撮写真は国土地理院WEBサイトから引用した。)
羽田空港はもちろん現在のような広大なものではなく、海老取川を渡ってすぐ
空港 施設に至る。
羽田空港から蒲田までの区間には既存道路があるので、改築で対応することに
なっ た。当時は交通量が極めて少ないので、このような地道でも問題はなかっ
たが、空港 利用が多くなり順次拡幅された。首都高速羽田線の羽田R設置に伴
い大鳥居以東は早 めにフル化されたが、大鳥居と南蒲田までの区間はかなり遅
れた。京浜急行線の立体 化と併せて改築しなければならないため容易ではな
かったが、半端に既存道路が存在 していることが仇になったのかもしれない。
(◆航空写真2を参照。)
南蒲田以西、以北の大田区内は中原街道と交差する田園調布警察署前交差点ま
では 新築区間で、何も着手していない。環八通り予定線と絡み合うかたちで多
摩堤通りが 通じていたため代用されたが、とても幹線道路とは言えない狭い地
道である。(◆航 空写真1を参照。)
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◆航空写真3
1947年の環七通り整備状況
(世田谷区瀬田交差点から杉並区上高井戸1交差点まで)
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瀬田交差点は東京西部の交通拠点で慢性的に渋滞が発生している。渋谷方面に玉
川通 りが新築されたくらいで、現在とほぼ同じ線形で道路が配置されている。
現在の東急田園都市線にあたる路線は路面電車で、瀬田交差点からまっすぐ南に
向かう線がそれに あたる。鉄道が通じていたので集落があり市街化していた。
そのため将来の環八通り にあたるルートはS字状に折れている。新築区間がお
おむね直線を基本にした滑らか な線形であるので、現在ではこのS字が交通容
量を低下させるネックになってしまった。
三本杉以北は新築区間なのでまっすぐに北上している。
(空撮写真は国土地理院WEBサイトから引用した。)
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