ヒマヒマバブル絶好調道の川柳・森川晃

あわただしい道路6



 名四国道(R23)下り線の名古屋南IC(伊勢湾岸道方面)分流から知多半
島道 路方面への分流までの78秒の5回の分流は、見逃すととんでもない方向
に行かされ てしまう。(◆模式図2を参照。)

 この区間は各写真を見てわかるように上空に高速道路が被る立体交差道路で、
分合 流の近接だけでなく視界の悪さもあわただしさを助長する。異論があるこ
とはわかっ ているが、当方としてはこの区間が日本一あわただしい道路と言い
たい。


【おわりに】

 うんちくにブームがあるとは思わないが、ある程度多くの人に関心をもたれた
分野 で特異点を知りたがるのは人の常である。(この表記は人気TV番組「ト
リビアの 泉」の序と同じ意味である。)

 はたして道路は関心をもたれているのだろうか。当方は物心がついたころから
関心 があるので世間の評価はわからないし、気にならない。すでに特異点には
関心がな い。というより、道路はもともとあいまいなものなので、明解な特異
点を示すことは むつかしいのだ。たとえば、「日本一交通量の多い道路は?」
と問われたときどう答 えれば良いのかわからない。うんちく本では「首都高
速」とか「東名高速」と記して いるものを読んだことがあるが、それはいかに
も乱暴な答えである。総延長283キ ロの首都高速と、62.2キロの名古屋
高速を比べるのはおかしい。単位キロあたり の交通量ならば名古屋高速の方が
多い※1。

 ところで、各交通量にも問題がある。首都高速の交通量は東京線、神奈川線、
埼玉 線を合わせたものである。浦和から横浜まで走行すれば3台とカウントさ
れる。名古 屋高速も尾北線は別カウントある。
東名高速道路は都市間高速道路の中では全区間総計で最も交通量が多い。これも
延長 の異なる道路を比べるのはおかしい。

 回答を絞るため「都市間高速道路で2005年1月から6月までの1日あたり
の平 均交通量が最も多い区間はどのインターチェンジとどのインターチェンジ
の間でしょ うか?」と問われれば、「東名高速道路の横浜町田ICと厚木IC
の間」と揺るぎな い回答をすることができる。

※1 2005年6月の交通量
首都高速 1149077台/日 延長:283.3キロ →4056台/キロ
名古屋高速 261377台/日 延長:62.2キロ  →4202台/キロ

 この回答にどんな意味があるのだろうか。問いが細かすぎて、うんちくレベル
の問 いの体を成していない。問われれば答えるが、あまりこのような特異点に
は拘りたく ない。もっと感覚的に道路と関わりたいのだ。本稿のようにあいま
いなままの方が心 地よいのだ。しかし、エッセイではないので、このようなあ
いまいなものでもそれな りに数値(交通量、道路構造)の裏付けはある。この
あたりが文学や芸術にはなりき れないつらさである。

(2005年10月4日脱稿。)