◆図1
楠JCTの分流パターン。
(名古屋高速1号楠線北行きから東名阪自動車道各方向への分流。)
|
さて、立体交差における分流には、◆図1のように方向別に分流箇所が異なる
構造 がある。「理想的な分岐」では、本線をとりあえず離脱してから方向を選
択すること ができるが、右の構造では本線走行中に分流位置を明確にしておか
なければならな い。都市間高速道路など道路用地に余裕がある場合はなるべく
「理想的な分岐」構造 で、本線走行車両への緊張を強いないようにしている。
しかし、制限の多い都市部で は「本線分岐が近接する」構造が見られる。◆図1
は、名古屋市北区の楠JCTであ る。東西方向の東名阪自動車道と南北方向の
名古屋高速がクロスして全方向に連絡す るフルジャックションである。(◆航空
写真1を参照。)
|
◆航空写真1
楠JCT
名古屋高速1号楠線北行きの分流、および、東名阪自動車道下り線の分流の各方
向に おける時差。
|
名古屋高速1号楠線北行き(南側)から東名阪道各方向への分岐は、四日市方
向の 分流から8秒後に東名高速方向の分流に至る。ここで分流方向を間違える
と復帰のロ スは大きい。例えば四日市方向に行くつもりで東名高速方向に分流
すれば次の出口 (勝川IC出口)でUターンすることになる。復帰には20分
以上かかり、通行料金 500円(普通車)が加算される。分流せずに北進すれ
ば次の出口(豊山南R(ラン プ)出口)でUターンすることになる。ここは近
いので復帰は10分くらいだろう。 通行料金は200円である。復路も豊山南
R(入口)から名古屋高速を利用すればさ らに200円加算される。
やはり、名古屋高速1号楠線走行中に分流方向を明確にして、分流位置に注意
して おかなければならない。分流する場合はかなりの緊張が強いられるはずで
ある。な お、楠JCTでの分流はとても多い。南北方向(名古屋高速)につい
ては、50%以 上が楠JCTの何らかの亘り線を走行している。
この分流は、◆図1の線形そのものである。
|
◆写真7
名古屋市北区丸新町
楠JCT
東名阪自動車道下り線から名古屋高速11号小牧線北行きへの分流部をのぞむ。
(2005年1月1日、著者撮影。)
|
楠JCTでは東西方向(東名阪道)においても類似の分流近接が見られる。西
行き 本線から名古屋高速都心方向と小牧方向の分流位置は、わずか5秒のずれ
である。東 西方向は通過交通が多いので、この近接を気にする機会は少ないか
もしれない。それ でも間違えると復帰は大変である。
構造は論理的には◆図1と同じだが、右方向の亘り線は、ループを描かずに直
接本 線をオーバークロスしている。
|
◆写真8
名古屋市北区大我麻町
楠JCT
名古屋高速1号楠線北行きから東名阪自動車道下り線への分流部をのぞむ。
(2004年12月16日、著者撮影。)
|
道路構造による近接する分岐は阪神高速に多く見られる。次項では、その代表
的な 区間を紹介する。
|