(3)所要時間
所要時間は、距離と道路状況によって決まる。通行料金よりも絶対値に近い
ルート を見出す目安になる。距離は(1)で記したように四国全域において明
石海峡ルート が短い。同じ道路状況ならば所要時間も明石海峡ルートが最短に
なるはずである。
ところで、道路状況には道路構造と交通状況がある。道路構造は、道路の幅
員、横 断曲線、縦断曲線など、走行速度の絶対値を決めるものである。おおむ
ね制限速度と 考えと考えればわかりやすい。交通状況は、制限速度で走行でき
るかどうかというこ とで、つまり渋滞の可能性をはかるものである。冒頭で記
したように10月平日の午 前10時ころの平均的な交通状況で算定している。
所要時間を短くするには、できるだけ短い距離を高規格構造の道路を選択し
て、渋 滞の可能性の高い区間を回避すれば良い。名古屋ICから関西までは、
迷うことなく 名神ルート(または京滋ルート)を選択することになる。名阪
ルートは、距離、道路 構造のいずれにおいて劣る。特に大阪ゾーン、神戸ゾー
ンを通過するので渋滞の可能 性は高い。◆表3の名古屋ICと高知IC、松山
IC、高松中央ICへの所要時間一 覧を見ると、名阪ルートはいずれもベスト
10にすら入らない。
関西までのルートは名神高速道路経由に固定して、関西から四国までの所要時
間が 最短になるルートを選択すれば良い。
各ゾーンでの道路状況の概要は前項で記している。これらのうち神戸ゾーン、
本四 ゾーンについて見直してみれば最短所要時間のルートが絞り込める。神戸
ゾーンを最 短で通過するのは阪神高速北神戸線を経由する北神戸ルートであ
る。明石海峡ルート を選択する場合は北神戸ルートをセットにすれば良い。ま
た、本四ルートでは西瀬戸 ルートは高速道路が全通していないのでほかのルー
トに比べて所要時間への負担が大 きいので、このルートは除外しても良い。ま
た、明石海峡ルートをたどって四国の南 半分に行く場合は、高松ルートは大回
りになるので除外できる。このケースでは徳島 ルートを選択する。
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◆地図7
名古屋ICから四国各地への所要時間が最小になる箇所と、そのルートを表す。
松山自動車道の川之江JCT以西は、「京滋、北神戸ルート」「京滋、瀬戸大橋
ルー ト」のいずれも同時間になる。
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◆表3
名古屋ICから高知IC、松山IC、高松中央ICへのルート別の所要時間一覧。
所要時間が短い順にソートしている。
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名古屋ICから高知ICまでは、北神戸ルート、徳島ルートが最短である。神
戸 ゾーンで須磨ルートをたどっても遅延は2分で2番目である。前項でも記し
たように 須磨ルートの交通集中起因の渋滞の可能性は高いので信頼度は極めて
低い。3番目は 瀬戸大橋ルートで、格差は3分である。つまり、明石海峡ルー
トが最短だが、瀬戸大 橋ルートはわずかに3分遅延するだけである。
松山ICまでは、瀬戸大橋ルート、明石海峡ルートのいずれも同じ所要時間で
あ る。走行距離は瀬戸大橋ルートが27.8キロ長いが、明石海峡ルートには
一般国道 11号や、2車線の暫定対面通行の徳島自動車道が走行速度の低下を
招くせいであ る。2ルートの所要時間がちょうど同じになったのは偶然である。
高松中央ICまでは、明石海峡ルートが最短になる。瀬戸大橋ルートとの距離
の格 差が大きいので所要時間では比較にならない。通行料金で瀬戸大橋ルート
が対抗でき たのは料金算定システムのマジックのせいで、この通行料金も実際
には瀬戸大橋ルー トをたどりながら、明石海峡ルートの通行料金が適用された
だけで、本質的には瀬戸 大橋ルートは最初から対抗できるルートではなかった
のである。
総じて、所要時間では、東海以東と四国のメインルートは名神ルートで関西に
到達 してから、徳島、香川、高知方面は明石海峡ルートが最短で、愛媛方面へ
は瀬戸大橋 ルートでも所要時間は変わらない。ただし、香川県は高松自動車道
の高松西ICと高 松檀紙ICの間が境目で、ここから西側は瀬戸大橋ルートの
方が最短になる。
【まとめ】
結局、松山出身の友人に回答した松山ICまでのルート(名神ルート、瀬戸大
橋 ルート)は、走行距離が541.2キロで最短距離より27.9キロ長く
(順位は1 4位)、通行料金が13900円で最安料金より200円高く(順
位は3位)、所要 時間が6時間47分で最短時間より7分多い(順位は5位)
だった。京都ゾーンで京 滋ルートを選択すれば6時間40分で所要時間は最短
時間になる。
京都ゾーンの現況については、前項で記したが、この報告書の所要時間測定条
件の 時間帯は名神高速道路の京都東IC前後区間での交通集中起因の渋滞によ
る遅延が影 響している。ルート選択は現場手前でも修正できるので、情報板の
所要時間を見て早 い方を選択すれば良い。京都ゾーンのルートは特に確定せ
ず、名神ルートの車線増の ような扱いでも、各着眼点での分析結果には影響し
ないと思う。各表における京滋 ルートは名神ルートにもなりうるもので、現況
に応じて条件のよい方を選択したとす る。それにより、回答したルートは事実
上、所要時間が最短になるルートになる。
しかも通行料金がなるべく安くなるルートである。
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◆表4
名古屋ICから高知IC、松山IC、高松中央ICへのルート別の平均速度一覧。
平均速度が速い順にソートしている。
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高速道路を利用するのは、たいていは所要時間の短縮を目的としている。しか
も、 通行料金が安ければ安いほど良い。名古屋ICと松山ICの間のように所
要時間が同 じで、通行料金の安いルートが存在するわかりやすい例ならば判断
に迷いはないが、 所要時間がやや早くて、やや通行料金が高いケースでは迷
う。時間と金を天秤にかけ た、回答が一意には決まらない選択が強いられる。
ところで、今回調査したすべてのルートの平均走行速度を算定してみた。(◆
表4)
元々、所要時間は全く休憩をしないことを想定している。あまり現実的ではな
い が、休憩時間は個人差があるので具体的には記せない。しかし、この所要時
間は少な くとも実走時間とは一致する。平均走行速度は、走行距離をこの実走
時間で単純に割 っただけである。休憩時間を含む実際の所要時間ではなく、実
走時間を分母にしてい るので、走行時における本当の平均速度が算出されている。
すると、松山ICまでの最良ルートと回答したルートが、平均時速81.2キ
ロで 最速になる。これは快適に走ることができるかどうかの目安になる。平均
速度で80 キロ以上ならば、おおむね全区間が高規格のスムースな高速道路で
あると考えられ る。高速道路で快適というのは、ほかに気を使わず楽に走行で
きる安全な道路という ことでもある。
最良ルートは着眼点により判断は異なるため一概には決めにくいが、案外平均速
度が 最も早いルートが無難なのかもしれない。
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