ヒマヒマバブル絶好調道の川柳・森川晃

東海環状道工事進捗報告(土岐JCT)1



【はじめに】
 東海環状自動車道は、名古屋市を中心として半径30キロから40キロで周回する 
高速道路である。正確には高速自動車国道ではない。一般有料道路として建設される 
自動車専用道路で国道475号である。これは、首都圏における首都圏中央連絡自動 
車道と同様の形態である。圏央道は国道468号である。
 このような分類は利用者にはあまり意味がない。接続する既存の高速自動車国道に 
そのままつながっているし道路構造も同じである。

 東海環状自動車道の経過地を時計回りに記す。第二名神高速道路と接続する四日市 
北JCTから養老山地の西側を北上して北勢ICに至る。ここまでの区間の工事はか 
なり進んでいる。この先は養老山地を横断して東側の平野部に至る。養老JCTで名 
神高速道路と接続し、岐阜市の西部、北部を大きく迂回するルートをたどって、東海 
北陸自動車道と接続する美濃関JCTに至る。

 おおむねこの地点で半周である。美濃 
関JCTから中央自動車道と接続する土岐JCTを経て、瀬戸市、豊田市の東部を大 
きく迂回して、第二東名高速道路および伊勢湾岸自動車道と接続する豊田東JCTが 
終点になる。豊田東JCTから四日市方面までの環状南部区間は伊勢湾岸自動車道で 
代用する。

 東海環状自動車道の全体計画は壮大で、容易に全通できるものではない。それで 
も、2005年3月開催予定の愛知万博に間に合わせるという目標を達成すべく東部 
区間の工事は鋭意進行している。東部区間とは、東海北陸自動車道と接続する美濃関 
JCTと伊勢湾岸自動車道と接続する豊田東JCTの間の73.0キロである。中央 
自動車道と接続する土岐JCTまでは2車線の暫定対面通行での供用だが、土岐JC 
T以南は豊田東JCTまで4車線のフル規格で供用される。豊田東JCTから先は、 
第二東名高速道路は開通しないが、伊勢湾岸自動車道は全通する予定である。

 伊勢湾岸自動車道の2003年10月現在の開通区間は、豊田東ICと東名高速道 
路と接続する豊田JCTの間、豊明ICと東名阪自動車道と接続する四日市JCTの 
間である。2003年度中に豊田南ICと豊明ICの間が開通し、2004年度中に 
は豊田東ICから四日市JCTまでがつながる。残りは豊田東JCTと豊田東ICの 
間だけである。(◆地図1)

◆地図1
東海環状自動車道位置図
緑点線が東海環状自動車道である。青点線が愛知万博開催までに開通予定のほかの自 
動車専用道路である。
豊田東JCTから右下にのびる1点鎖線は第二東名高速道路である。この区間は愛知 
万博開催までには開通しないが、東海環状自動車道の端点を明確にするために記し 
た。なお、東海環状自動車道は美濃関JCT以西も計画されているが、三重県内の一 
部区間を除いて開通は遠いので敢えて記していない。
 愛知万博のメイン会場は、当初瀬戸市南部の海上(かいしょ)の森地区を予定して 
いた。紆余曲折を経て、この計画は大きく変更された。海上の森会場は規模を縮小し 
たサブ会場として、メインは西隣の長久手町に既存の愛知県青少年公園を全面改造し 
て設営することになった。◆地図1の万博会場の左側の円が長久手会場で、右側の円 
が海上の森海上である。会場の設定は、わずかな期間でも変更できるが、高速道路は 
簡単にはいかない。会場はいかに規模が大きくても「点」だが、高速道路は「線」な 
ので、変更による影響は比較にならない。それに、会場は刹那の宴のための施設で一 
般的には閉会後は取り壊される。ところが、道路アクセスは社会資本として永遠に残 
る。安易に計画変更できるはずがない。

 東海環状自動車道の計画策定は愛知万博開催決定よりも前である。当初の会場が計 
画線に近いのは偶然だろう。それでもメイン会場に最も近接する箇所に瀬戸東ICを 
設置して、ここから名古屋瀬戸道路で万博会場に直結して東名高速道路まで連絡させ 
ることになった。この計画で工事は進められたが、万博会場の位置が変わり、名古屋 
瀬戸道路も新たなメイン会場の長久手町までで打ち切りになった。瀬戸東ICは万博 
会場に連絡するメインゲートになるはずだったが、瀬戸市東部のローカルインターチ 
ェンジにおさまることになる。

 東部区間の線形は、おおむね東名高速道路の東側にその線形をコピーしたようなか 
たちになっている。東名高速道路の当該区間は交通集中起因の渋滞多発区間である。 
東海環状自動車道は一見、この渋滞多発区間のバイパスのようだが、その効果はあま 
り期待できない。首都圏中央連絡自動車道は、首都高速環状線に集まる放射線を外側 
でリンクするかたちになっている。

 そのため首都高速の通過利用車を排除する機能を 
持つ。東海環状自動車道は、すでに名古屋市を迂回するかたちで設置された東名高速 
道路のさらに外側に設置される。名古屋市の通過車両はすでに排除されているのだ。

 つまり、首都圏中央連絡自動車道は、都心部を迂回する高速道路がない東京に新た 
に設置される環状道路である。これに対して東海環状自動車道は、都心部を迂回する 
高速道路(東名高速道路、名神高速道路)をさらに迂回する第二環状道路である。た 
だし、東海地方の東名高速道路や名神高速道路は、位置しては都心部を迂回するかた 
ちになっているが、東海道のメインルートとして利用されているので、あまり東海地 
方のリンクの便宜のために負担はかけられない。首都圏中央連絡自動車道は全通すれ 
ば、東京迂回ルートとして長距離リンクにも利用されそうだが、東海環状自動車道は 
東海地方の内外リンクに利用されると考えられる。

続く