ヒマヒマバブル絶好調道の川柳・森川晃

横須賀市道1643号「のの字橋」1




◆地図1
「のの字橋」位置図(広域)。
最寄りの鉄道駅はJR横須賀線の田浦駅である。
 横須賀市は久里浜港に流れる平作川沿いの狭い地域(衣笠から久里浜にかけて)を 
除けば、全体に低い丘陵地に立地している。一般にはこのような地形では、農地に適 
した平野部に比べて開発が遅れることが多いが、沿岸部が天然の良港として古くから 
利用されてきたため、市街化が進行している。港湾関連の産業が発達し、独自に人口 
を増やしてきたが、東京への交通便が良いので、暮らしやすい住宅地としてさらに市 
街化が進行した。

 横浜市も丘陵地が多いので斜面に宅地が建設されているが、横須賀市はさらに斜面 
の角度がきついような気がする。幹線道路は丘陵をトンネルで抜けて、ショートカッ 
トさせているが、斜面の宅地への地先道路にはあたかも登山道のような狭い急坂ルー 
トが散在している。

◆画像1
横須賀市長浦町5
長浦5交差点から
横須賀街道(R16)横浜方面車線、新吾妻トンネルをのぞむ。
(2003年8月14日、著者撮影。)
 本報告では、宅地への急坂ルートの中でも著名な通称「ののじ橋」を紹介する。 
「ののじ」とは、道路が「の」の字のような線形になっているということである。横 
須賀市北部の田浦町に位置する。

「のの字橋」は全国に多数存在している。ループ線と呼ばれることもある。急坂区間 
の勾配を少しでも緩めるために1周または2周または3周して区間長を延ばしてい 
る。大規模なものとしては、静岡県河津町の国道414号における河津七滝ループ 
(3周)がある。また、首都高速6号三郷線の加平ランプも1周半のループになって 
いる。これらはループ構造が人工的に建造されたものだが、田浦のループは自然の地 
形にフィットした地味なものである。

◆図1
撮影位置図。
(◆画像1の撮影位置は、◆図1の枠外の新吾妻トンネルの東口、長浦5交差点であ 
る。)
「のの字」ループを含む隘路は、横須賀市道1643号で、横須賀街道(国道16 
号)横浜方面車線の新田浦トンネル東口の手前においてT字で接続している。(◆画
像2)
 横須賀街道に比べてかなり狭い(幅員3.5メートル未満)ので、余程注意してい 
ないと見逃してしまう。また、横須賀街道が一方通行なので、車は横須賀方面からし 
か進入できない。反対に、1643号から降りてきた車は新田浦トンネルに入って横 
浜方面にしか行けない。

◆画像2
横須賀市田浦町1
田浦駅入口交差点から
横須賀街道(R16)横浜方向車線、新田浦トンネルをのぞむ。
(2003年9月13日、著者撮影。)
 1643号は、2つの丘陵に挟まれた狭い谷を登っていく。したがって、両側は急 
斜面になっている。25000分の1地形図ではわかりくいかもしれないが、等高線 
の密度から谷の規模を察してほしい。(◆地図2)
 斜面は宅地になっていて、急傾斜地崩壊危険区域に指定されている。(◆画像3)

◆地図2
「のの字橋」付近の地形図(25000分の1)。
この縮尺ではわかりにくい。「田浦一丁目」のロゴの「目」の左側の黒実線が「のの 
字」ループを含む横須賀市道1643号である。「長浦町五丁目」のロゴの「丁」と 
かぶる幅のある道路が横須賀市道364号である。

続く