ヒマヒマバブル絶好調道の川柳・森川晃

阪神高速森小路線 9



 守口線の交通量は20年前に比べると10%程度減少している。(◆表2)
 森小路線接続だけで何とかなるのではないだろうか。バブル景気が再来するとは思 
えないが、いつまでも低迷しているとも思えない。低迷が続いているので公共投資を 
止めるというネガティブな短絡は、いかにもつまらない考えである。

 かといって東京地区で採用している1キロ1000億円の高速道路では永遠に採算
が取れない。大阪地区の高速道路は、一方通行の高速環状線の採用などの効率的な構
造である。また、乗り継ぎ制など利用者の負担が少ない運用をしている。ところが、
現在工事中、計画中の区間にはあまり工夫を感じない。永遠に採算の取れない高価な
構造や、無理な計画が目立つ。再度、問題点を抽出し直しすべきではないだろうか。

 たとえば、
(1)  住吉浜R出口の乗り継ぎ券発行待ち渋滞を回避するために、5号湾岸線西行
きの乗り継ぎ券発行を住吉浜R出口ではなく、南芦屋浜TBで行う。
(2)  短区間の利用を促進するために、島屋方面、北港西から5号湾岸線神戸方面
への通行料金を無料にする。ほかにも3号神戸線の姫島R入口、5号湾岸線六甲アイ
ランド方面の魚崎浜R入口など多数の短区間の片方向を無料にする。
(3)  1号環状線の湊町と土佐堀の間の渋滞を解消するために、西長堀Rから15
号堺線汐見橋までの本線を直結する。(当面は、乗り継ぎ券を発行する。)双方向連
絡ではなく、15号堺線から西長堀Rまでの接続だけでも効果はあると思われる。
など、ほかにもいろいろ考えられる。

 森小路線の第二京阪自動車道直結、第二環状線東部区間の見直しもその一つである。
大阪市東部の南北方向の交通需要は多いが、この方向には現在地下鉄8号線(森小路
大和川線)が建設されている。2006年度までに東成区今里(千日前線と連絡)と
東淀川区井高野の間12.1キロが開通する予定である。

 おおむね大阪市道大阪環状線の下を通過する。計画としては今里からさらに南下し
て東住吉区湯里6まで(全長18.7キロ)延長することになっている。このルート
はほぼ平野川の東側をほぼ平行に貫通する。つまり、第二環状線の構想線に近い。高
速道路計画を白紙にして交通需要を地下鉄に委ねても良いかもしれない。なお、大阪
環状線は4車線の平面交差道路で、高速道路を建設する余地はない。

 いずれにしても森小路線周辺の高速道路計画線は市街地の大規模な区画整理が強い 
られるので、早期に高速道路が整備されることはないだろう。つまり、1968年5 
月1日に整備された社会資本は少なくとも50年は放置されることになる。これはあ 
る種の遺跡(有効利用されていない社会資本)と言える。社会資本の効率的な利用を 
行っている大阪地区には珍しい。

 東京地区には多数の遺跡があり、石原都政ではいくつかの再利用を図っている。
しかし、用地の利用はともかく、遺跡をそのままインフラとして利用するのは果たし
て大丈夫だろうか。新規に開通していても、実際の完工は数十年前である。耐用年数
は明らかに短いのだ。