西瀬戸自動車道におけるほかの本四連絡2区間と異なる特性は、歩道が設置されて
いるということである。本州と四国が歩いて行けるようになった。もちろん自転車、
原付も通行できる。
本報告では便宜上「歩道」と記すが、この歩道もその運用実態はあまり知られてい
ない。あくまでも歩道が設置されているのは「橋」だけである。本州四国連絡橋公団
のリーフレットにも本件は記されているが、それを見落として走破すべく出かける
と、現地で予定が変わることになる。橋以外の区間はすべて地道を進むことになる。
自動車は長くて緩い坂道を経て橋に至るが、歩行者は長いスロープや階段を、自転車
は急な坂道を走行することになる。ほとんどのアプローチは橋台付近で地道に接続し
ているので、自動車よりもはるかに長い距離を経て橋に至る。
歩道から見れば、開通区間は「因島大橋」「生口橋」「多々羅大橋」「大三島橋」
「伯方・大島大橋」「来島海峡第一、第二、第三大橋」の6区間が開通区間で、それ
らの間の区間と前後区間を併せて7区間は未開通である。もちろん全通の予定はな
い。歩行者はともかく、自転車や原付での本四連絡の利便性を考慮したとは思えな
い。橋を建設するときに歩道を設置する余地があったので、設置してみたという感じ
がする。
西瀬戸尾道ICから新尾道大橋南詰までは4車線のフル規格で供用している。新尾
道大橋南詰から因島大橋北詰までは2車線の暫定対面通行だが、4車線分の道路用地
は確保済みである。すべて土工区間で容易にフル化できる。
なお、新尾道大橋には歩道は設置されていない。原付、125CC以下のバイクは
尾道大橋を通過することになる。ただし、歩行者と自転車が通過できる橋はない。歩
行者と自転車は渡船(駅前渡船、福本渡船、尾道渡船)を利用することになる。渡船
は頻繁に運行されており、安価(100円)で利便性に問題はないが、あくまでも歩
いて渡ることに拘れば、今のところ本州と四国を歩いて渡るすべはない。(◆表1)
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◆表1
西瀬戸自動車道各海峡区間の通行区分ごとの通行可否一覧。
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各海峡区間の橋の通行可否や、出入口の案内図は本州四国連絡橋公団が発行してい
る「自転車歩行者道マップ」などのリーフレットに記載されている。市販のハイキン
グガイドにも記載されているとは思うが、下調べをせずに出かけると現地で戸惑うこ
とになるだろう。
ところで、歩道は正確には「歩行者、自転車道」と「原付、125CC以下のバイ
ク道」の2本が別々になっている。同じ道路用地を分割使用している区間もあるが、
別々の専用道路になっている区間もある。(◆表2)
生口橋、多々羅大橋、来島海峡大橋では「歩行者、自転車道」と「原付、125C
C以下のバイク道」が車道の外側に上下線で別々に設置されている。景観がかなり異
なるので撮影を予定しているときには留意しておかなければならない。また、各橋の
アプローチも別々のルートが設定されている区間もある。特に来島海峡大橋の今治側
アプローチはダイナミックな線形の高架橋になっているが、ループでのアプローチは
「歩行者、自転車道」の方である。(◆画像7)
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◆表2
瀬戸内海横断自転車道の運用一覧。
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◆画像7
来島海峡第三大橋の今治側アプローチ部。
(愛媛県のWEBサイトから引用。)
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本報告は、西瀬戸自動車道の高速道路ネットワークから見た大系的な位置付けにお
ける交通計画の視点でまとめている。したがって、歩道運用の詳細については省略し
て、単に「歩道」の有無だけを記す。なお、歩道運用の詳細については、多数のWE
Bサイトで確認できる。このときのキーワードは「瀬戸内海横断自転車道」である。
地元の観光ガイドも多数見つけることができるはずである。
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◆図3
因島大橋
歩道はトラス下部に設置されている。
トラス上部の本線も全レーンが開放されているので、完成していると言える。
(本州四国連絡橋公団WEBサイトから引用。)
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