高速道路の本線変更工事では、既存道路の付替えのため新規工事よりも複雑な工程
を経ることになる。特別な条件がなければ既存走行レーンはいかなる工程においても
確保しなければならないため、複数回の既存走行レーンの変更が実施される。時間も
費用も新規工事とは比べ物にならない。
本線付替えの多くは、ジャンクション部分の切り替えだけで済むことが多い。これ
まで本線(道なり)だったルートが側線からの亘り線経由になる。国内におけるいく
つかの例を記す。
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◆地図1
青森JCT
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◆地図2
木更津南JCT
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青森JCT(◆地図1)、木更津南JCT(◆地図2)は、高速道路終点が延長さ
れたケースである。
青森JCTは、東北自動車道の青森IC終点の手前で、青森中央IC、青森東IC
方面へ延長されることにより終点が変更されている。この延長は、青森東ICが終点
に変更されたのではない。青森東ICからさらに八戸自動車道に接続される。東北自
動車道本線を道なりに北上すると、将来は八戸自動車道を経て安代JCTで東北自動
車道に戻ってしまうことになる。
木更津南JCTは終点の変更と言える。館山自動車道としては木更津南ICで終点
だったが、一般有料道路として開通している館山方面への富津館山道路と一体になっ
て道路愛称通りに館山市に至ることになる。
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◆地図3
豊明IC
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豊明IC(◆地図3)は、便宜上命名しただけで正式名称ではない。名四国道と知
立BP(バイパス)という一般国道の分岐で無名である。元々、名四国道は国道1号
の名古屋市街を迂回するバイパスとして建設されたが、名古屋だけでなく岡崎や豊橋
を迂回する名豊道路と連続させて愛知県内の国道1号全線のバイパスとして位置付け
られた。このとき、名豊道路と名四国道を併せて全線を国道23号として、国道1号
とは別管理になった。名豊道路の延長は長く、複数のバイパス道路に分割されて建設
している。名四国道と接続するのが知立BPということになる。
現在は、栄交差点の立体化や伊勢湾岸自動車道の豊明ICの接続により、極めて複
雑な線形になっている。
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◆地図4
下関JCT
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中国自動車道の通過点に過ぎなかったが、山陽自動車道の分岐として下関JCT
(◆地図4)が設置された。現在は、山陽自動車道が宇部JCTまでの暫定接続にな
っているため、広島方面に直通する中国自動車道の交通量が多い。山陽自動車道が本
線の構造になっているが、山陽自動車道は暫定2車線の対面通行で、下関方面からの
上り線は本線の方が中央寄りへの右分岐のようになっている。山口南ICと宇部JC
Tの間に山陽自動車道が直通する見込みがないのに、このようなわかりにくい道路構
造にしたのはなぜだろうか。
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