名古屋豊田道路はR153上に計画されている。R153は、豊田市東新町までの
区間で名古屋豊田道路を含む道路用地を確保している。標準断面では中央分離帯は2
車線分の幅員で、名古屋豊田道路のインターチェンジが設置される箇所では4車線分
に広がっている。名古屋豊田道路の完成パースは見たことがないが、ルートもイン
ターチェンジの位置も明確なのである。
植田ICの豊田方面への直結ランプは、当然、名古屋豊田道路を意識したものだと
考えていた。ところが、このランプは単にR153の側線に接続している。しかも1
車線の幅しかない。R153は植田ICでは本線がアンダーパス(地下2層目を通
過)になる。本線4車線をR302との交差(天白高校東交差点)連絡用側線2車線ず
つが挟む。植田ICランプは側線と接続する。R153本線はあくまでも植田ICを
パスして植田一本松方面に直通する交通を優先している。豊田方面から東名阪自動車
道を経て高針JCTで名古屋高速に接続する高速ルートを優先しているわけではない。
名古屋豊田道路は2005年までに整備される道路ではない。それでも植田ICの
直結路だけは、着手を予感させるようなかたちにしてもらいたかった。
名古屋圏の道路整備は計画から施工、開通までのスパンがとても長い。首都圏や大
阪圏にように国家予算が割り当てられることはないので仕方がない。今回、愛知万博
という国家プロジェクトが開催されることになり古い計画のいくつかが脚光を浴びて
いる。名古屋豊田道路は選択されなかったが、必要な高速道路であることに変わりは
ない。だいたい、東名阪自動車道もR302平行区間は元々は名古屋高速道路で、名
古屋市が施工する予定だった。しかし、建設予算が確保できないため日本道路公団に
設計図ごと譲渡したのである。そのため、この区間の東名阪自動車道の幅員は、日本
道路公団管轄のすべての高速道路で最も狭くなっている。18.8メートルから1
9.7メートルの4車線で、一般的な4車線区間よりも4メートルほど狭い。名目上
は都市間高速道路になっているが、構造は都市高速道路なのである。東名阪自動車道
における名古屋高速からの譲渡区間の交通量は多く、ドル箱路線になっている。
名古屋豊田道路の道路用地は確保済みで、運用(料金体系)次第ではドル箱路線にな
りうる潜在交通量をかかえている。すぐに着手してもおかしくないルートなのだが、
なかなか名古屋圏だけでは予算が確保できない。施工主が現れるのを気長に待ちたい
と思う。損な投資にはならないはずである。
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