ヒマヒマバブル絶好調道の川柳・森川晃

横浜港臨港幹線道路1



【はじめに】
 首都高速(K5)大黒線の大黒PA(パーキングエリア)で休憩すると横浜ベイブ 
リッジの下部や大黒JCT(ジャンクション)の下部でなにやら道路建設が進行して 
いるのを見ることができる。一見すると首都高速道路関連の道路増設に見えるが、こ 
れは首都高速湾岸線と並行する一般道路(東京湾岸道路)の建設工事である。
 画像1は横浜ベイブリッジ下部に増設される東京湾岸道路、画像2は東京湾岸道路 
から大黒ふ頭の地平への分岐路、画像3は分岐路が集まるインターチェンジ部であ 
る。いずれも大黒PAから撮影している。

◆画像1
横浜ベイブリッジ(大黒側)
首都高速(B)湾岸線下路に東京湾岸道路を架設中。
(2002年12月26日 著者撮影)

◆画像2
東京湾岸道路東行き(外回り)からの大黒ICオフランプ部。
本線のレベルから徐々に地平への斜路に移行していく。
(2002年12月26日 著者撮影)

首都高速(B)湾岸線、(K5)大黒線
大黒JCT
画面左側の湾岸線下路で架設中の東京湾岸道路大黒ICは、大黒JCTの東側の湾岸 
線下空間に展開される。
(2002年12月26日 著者撮影)
 東京湾岸道路は、一般道路と高速道路の組み合わせで構成される高規格道路であ 
る。高速道路は全線開通しているが、一般道路は主として航路横断部に未開通区間を 
残している。特に神奈川県内では多くの未開通区間があり、東京湾岸道路本来の機能 
は発揮していない。いつまでも首都高速※1だけで問題はないのだろうか。
港内輸送では短区間の首都高速利用になるため高速料金が割高である。また、首都高 
速の本来の目的は比較的長距離利用車両への便宜である。大黒ふ頭から本牧ふ頭まで 
の短区間利用車両による交通量集中起因の本線渋滞は避けなければならない。首都高 
速神奈川線の交通量は東京線に比べて少ない。道路のキャパシティにも余裕がある。 
それでもピーク時には各地で自然渋滞が発生している。短区間利用車両の排除により 
渋滞解消は見込まれる。
 さらに、並行する一般道路の整備は、高速出入口での交通渋滞を緩和する効果があ 
る。一般道路への接続箇所が信号制御で、捌ける交通量が制限される場合、出口渋滞 
が本線に及ぶことがある。また、入口までのアプローチが短い場合は、一般道路の右 
左折車両が滞留することがある。高速道路に比べて一般道路の交通容量は小さい。同 
じ幅員の道路でも高速道路は通過速度が2倍なので、交通容量も2倍である。これら 
の接続箇所では、理想的には高速道路と一般道路の中間規格の道路設置が望ましい。 
東京湾岸道路の一般部は、交差点で平面交差する4種道路と立体交差する3種道路が 
計画されている。ところが3種道路の設置は遅れている。現在(2003年2月)開 
通しているのは江戸川区の葛西臨海公園付近の環七通りとの交差部(東行きのみ)、 
浦安市の中央公園付近、市川市から船橋市にかけての二俣区間、それに千葉市美浜区 
の浜田区間くらいである。3種道路は、ある程度開通区間が連続して長くなったら施 
工するということだろうか。
 大黒ふ頭R、本牧ふ頭Rともに大型車混入率は非常に高く、ランプ区間が長いにも 
かかわらずピーク時には出口渋滞列が高速本線に及ぶ。大黒ふ頭Rは、大黒PA利用 
車両も含まれるためかなり深刻な事態になっている。そのため2000年3月15日 
に横浜ベイブリッジを含む本牧ふ頭と大黒ふ頭の区間の東京湾岸道路が起工された。 
ところで、この1年前の1999年には「大黒本牧臨海道路」が起工されている。こ 
の道路は、横浜港を周回する「横浜港臨港幹線道路」の一部である。横浜ベイブリッ 
ジを含む区間は、東京湾岸道路とこれらの道路の重複区間になる。
 本報告では、これら3つの道路の概要について記す。

※1 東京湾岸道路
 東京湾岸道路は一般部と専用部を併せた名称だが、本報告では便宜上、一般部を東 
京湾岸道路(国道357号)、専用部を首都高速道路(湾岸線)と記す。
※2 道路規格

 道路規格ごとの設計速度一覧。
 東京湾岸道路の一般部は3種1級、4種1級である。

続く