ヒマヒマバブル絶好調道の川柳・森川晃

東京外郭環状線4




 東京外環自動車道(東名高速と関越道との区間)のルート図。
 各ジャンクション付近の現状についてまとめる。

【世田谷ジャンクション】
 東名高速道路の当該区間は1968年4月25日に開通した。このとき、すでに外 
環道との接続を準備していた。高速本線の左側には外環分岐部、合流部を確保してい 
る。それぞれテーパだけでなく減速(加速)車線からノーズまで同時に建設した。盛 
土区間の東京IC側はランプ区間の一部もある。早期に外環道を接続させる予定だっ 
たことがわかる。当時は、南側の第三京浜、羽田方面への延伸も視野に入っていたた 
め世田谷ジャンクションは全方向接続のフルジャンクションとして準備していた。
 高速道路の出入口やジャンクションには番号が振られている。東名高速道路は東京 
ICを1として昇順に名神高速道路の西宮ICまで通している。ところが、次の出口 
である東名川崎ICは3である。これは世田谷JCTを2として空けていたのであ 
る。(このナンバリングは、追加ICなどでかなりわかりにくくなっている。追加I 
Cは大抵の場合は1つ上り側のインター番号にハイフンを付記して1、2と昇順にナ 
ンバリングしている。)

◆拡大図1
 世田谷JCT付近
 東京外環自動車道ルート図。
 世田谷ジャンクション以北は、ほぼ野川に沿って北上する。堤防を含めた河川敷が 
それほど広い川ではない。小川といった風体の都内では珍しく自然の原風景を残した 
エリアである。本当にこんなところに高速道路が建設されるのだろうか。

 世田谷JCT
 東名高速道路と東京外環自動車道との接続図。
 世田谷JCT以南は未定だが、便宜上全体図を記している。

 世田谷JCT予定地空撮画像
(1982年11月13日撮影。
 「空から見た東京23区」(日本交通公社 1983年発行)から引用。)
 世田谷ジャンクションは典型的なタービン型である。三郷ジャンクションと同じ形 
式であるが、平地に盛り上がる形ではなく谷地に埋まるような形になる。東名高速道 
路本線が最高層で、外環道本線が最下層になる。当初はすべて高架だったが、今回の 
変更により外環道本線は大深度地下になったためランプ部のみが当初の予定通りに東 
名高速本線から枝分かれすることになる。ランプは寄り集まって世田谷区喜多見6地 
内で、マイナス40メートルの外環道本線へ接続すべくトンネル区間になる。

◆画像1
 世田谷JCT
 東名高速下り東京IC方面から東京外環自動車道各方面への分岐部。
 東京外環自動車道各方面から東名高速上り東京IC方面への合流部。
 東名高速本線多摩川橋方向をのぞむ。
(1986年11月16日 著者撮影)

◆画像2
 世田谷JCT
 東名高速下り東京IC方面から東京外環自動車道各方面への分岐部。
(1986年11月16日 著者撮影)

◆画像3
 世田谷JCT
 東名高速下り東京IC方面から東京外環自動車道各方面への分岐部。
(1986年11月16日 著者撮影)

◆画像4
 世田谷JCT
 東名高速下り東京IC方面から東京外環自動車道各方面への分岐部起点。
 東京外環自動車道各方面から東名高速上り東京IC方面への合流部終点。
 東名高速本線東京IC方向をのぞむ。
(1986年11月16日 著者撮影)
 世田谷ジャンクションの位置は、東京ICにとても近い。東京ICテーパと外環道 
分岐合流テーパは500メートルほどしか離れていない。東京IC出口が渋滞した場 
合は、外環道合流にも影響しかねない。まあ、渋滞を回避するために外環道へ分岐す 
ることもできるが。外環道から首都高速方面への流れが予想交通量を超えた場合は、 
車線変更もままならないことになる。首都高速の用賀TBの取り扱いを含めた見直し 
が必要だろう。このあたりは、第三京浜と首都高速の接続する三ッ沢ジャンクション 
のように機を見て変更していけばよいと思う。

◆画像5
 世田谷JCT
 東京外環自動車道各方面から東名高速下り東名川崎IC方面への合流部。
 東名高速上り東名川崎IC方面から東京外環自動車道各方面への分岐部。
 東名高速本線多摩川橋方向をのぞむ。
(1986年11月16日 著者撮影)
 ところで、世田谷ジャンクション以南への延長は考慮されるのだろうか。東京外環 
自動車道は、名前のように東京の外郭を環状すべく計画された。目的は放射都市間高 
速道路をつなぐことである。時計回りに東名高速道路、中央自動車道、関越自動車 
道、東北自動車道、常磐自動車道、東関東自動車道。つまり、東名高速道路以南羽田 
までは目的とは無関係である。そのため計画当初からこの区間のルートはなかなか決 
まらなかった。おぼろげには、第三京浜と接続後は、多摩川の右岸と左岸でそれぞれ 
外回り、内回りとセパレートになり、多摩川が大きくS字状にカーブする大田区矢口 
で蒲田方面へ市街地を東進して昭和島あたりに至るというものだった。多摩川区間は 
ともかく、それ以東は現実的なルート選定とは思えないもので、もちろん都市計画決 
定はしていない。

 別のプロジェクトとして川崎縦貫線の建設が進んでいる。川崎浮島ジャンクション 
と殿町ランプまでの区間は首都高速(K6)川崎線として開通済みである。この先、 
富士見を経て、第三京浜と接続し宿河原で東名高速道路と接続する予定である。まだ 
まだ建設反対運動は盛んだが、ほとんどの区間が地下方式であるため実現の可能性は 
高い。世田谷ジャンクションと宿河原ジャンクションは多摩川橋を隔てて2キロしか 
離れていない。外郭環状としての効果ならば川崎縦貫線との組み合わせで実現できる 
のではないだろうか。ただし、安易に世田谷と宿河原で外環道と川崎縦貫線を接続す 
るだけでは東名高速道路がパンクしてしまう。多摩川橋の拡幅はしなければならない 
だろう。

続く