ヒマヒマバブル絶好調道の川柳・森川晃

北九州高速の成長を下到津Rに見る 4



 ところで、高速5号には高速4号の交通分散のほかに、さらに2つの目的がある。

1 黒崎BP(R3)の直結
 大谷JCTと枝光Rのほぼ中間の東田地内で、全線高架構造の黒崎BPがフルセッ 
トジャンクションで接続する。八幡西区だけでなく若松区からもスムースに高速5号 
にアクセスできるようになる。黒崎BPの道路構造は高速5号と何ら変わらないの 
で、事実上の北九州高速の黒崎(八幡西区)への延伸と言える。黒崎BPは、一般国 
道3号のバイパスであり通行料金は不要と考えられる。東田地内で高速5号だけでな 
く、既存の戸畑BP(R3)にも直結される。

2 高速環状線の形成
 戸畑で高速2号と接続すると、ややいびつな線形だが、愛宕JCT<高速1号>紫 
川JCT<高速4号>大谷JCT<高速5号>若戸JCT<高速2号>東港JCT< 
高速3号>愛宕JCTと、複数の路線を経る環状線が形成される。複雑なリンクが発 
生する大都市での環状線の効果は絶大である。放射一辺倒の都市では、郊外とたった 
一つの都心を結ぶだけの単純なリンクしか担えない。環状線が機能していれば、リン 
クの種類が増えるだけでなく、迂回パターンも増えるので、同種のリンクでも複数の 
ルートパターンが選択できる。北九州市が環状線を必要とする大都市かどうかはやや 
疑問だが、すでに80%が開通していて、残りの区間も戸畑駅付近から若戸JCTま 
での区間以外は用地収用も容易なので、何とか全通させてもらいたい。
 
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北九州高速
小倉北区、戸畑区、
八幡東区の路線図
(福岡北九州高速道路公社
2001年6月発行
「北九州都市高速道路案内」
から引用)
【まとめ】

 高速1号旧計画線は、小倉北区と八幡東区、さらに既存高速道路を経て福岡市方面 
を短絡させる路線である。この計画が頓挫し、現在は紫川JCTを経て高速4号経由 
になる。将来は、2号線、5号線を経るルートも選択できるようになる。これらの3 
ルートの距離を比較すると、もちろん旧計画線が最短である。
 
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小倉駅から八幡駅付近
までの各路線の距離
 ところで、北九州高速道路は首都高速のような深刻な交通渋滞が慢性化しているわ 
けではない。おおむね法定速度以上で走行できる。通過時間で比較すれば最短の高速 
1号旧計画線で6分、現状の4号線で10分、将来の迂回線で11分程度である。高 
速5号の大谷JCTと枝光Rの2.4キロの建設費は434億である。高架2層構造 
で、単層構造より高価だが、トンネル構造よりは安価である。ざっくり1キロ200 
億と考えて、旧計画線の建設費は1000億以上である。4分短縮で1000億は過 
剰投資である。ほぼ同額の投資ならば、環状線を形成する高速5号の方が有効な社会 
資本になるような気がする。

 北九州高速の2つの路線(1号下到津延長線、5号線)を紹介したが、これらには 
一般国道3号の重交通を軽減させる目的がある。1号は小倉北区都で戸畑BPから、 
5号は八幡東区東田で黒崎BPからの交通を拾う。いずれも北九州市西部からの交通 
がターゲットである。5号で拾い損ねた交通を1号で拾うかたちになる。当面は、1 
号だけで拾うのでそれなりに需要はあると思われるが、黒崎BPが5号に直結した時 
点で、先に拾われてしまうことになる。これは、首都高速2号の位置付けに似てい 
る。郊外の高速道路に接続するほかの路線とは異なり、都心近くの一般道路だけと接 
続しているため交通量は少ない。それでも目黒区や大田区だけでも十分な需要がある 
ので、それなりに高速道路としての価値がある。旧計画線の途切れた路線のつじつま 
を合わせたかのような下到津延伸は価値があるのだろうか。

 北九州高速道路は、ほかに2号線の小倉駅北Rから東が途切れている。もちろん本 
線はさらに延長できる構造になっている。計画当初からこの先については未定であ 
る。おぼろげには下関までの延伸構想があるが当面は現実的ではないだろう。本件に 
関しては、別の切り口で分析したいと考えている。