ヒマヒマバブル絶好調道の川柳・森川晃

中国自動車道の戦略的理由 3



 中国地方は、高速道路に関しては国内で最もめぐまれている。主軸方向にはメイン 
とサブが貫通し、それらと交差する方向にも複数が貫通している。さらに主軸方向に 
は山陰自動車道が、交差には播磨自動車道、鳥取自動車道、松江自動車道に着手して 
いる。交通需要を度外視した完璧なラダ?ネットワークである。山陽自動車道は山口 
JCTで終点ではなく、さらに海岸線を西進して宇部から既に開通している区間を経 
て下関JCTに至る。宇部、小野田など既存都市に交通需要があるのは理解できる 
が、随分細かい配慮である。大阪側の神戸JCTでの接続は第二名神高速道路に接続 
させる計画だが、下関側と同じ考えならば中国道の南側をさらに東進して尼崎で名神 
高速道路に接続させるくらいの配慮がほしい。まあ、高度に市街化の進行した阪神地 
区には建設できるはずもないが、それならば早めに第二名神高速道路に着手して中国 
自動車道の最大交通量区間の負担を軽くすべきではないだろうか。2002年度中に 
は阪神高速7号北神戸線が西宮山口で中国道と接続し、さらに交通量は増える。
 
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 下関JCT
 中国自動車道と山陽自動車道
(宇部)の分岐部
(JH中国WEBサイトから引用)
 現在この区間の交通量は、景気低迷の影響で最盛期の交通量の80%程度である。 
登坂車線の付加で渋滞回数は減っているが、まだ渋滞回数は多い。広域でのラダ?ネ 
ットも重要ではあるが、大都市近郊のラダ?ネットを優先させるべきではないだろう 
か。東京圏、大阪圏では、地下空間しか高速道路の建設余地は残されていないかもし 
れない。需要はあるが、費用がかかりすぎるため過剰投資になり、費用対効果の面で 
は交通需要の少ない地方のローカル路線と同等の扱いになってしまう。確かに現時点 
での費用面ではその通りだろう。しかし、将来を考えた投資と考えれば異なる評価に 
なるのではないだろうか。
(首都高速中央環状品川線と道東自動車道を同等扱いするのは、いかなる判断基準に 
おいても納得できない。国鉄からJRに変わるころ、全国の赤字ローカル線の多くが 
廃止された。このときの基準は収支係数で、100円儲けるのにいくらかかったかで 
命運を分けた。つまり「比率」が基準になっている。収支係数101と600でも赤 
字の金額が同じというケースもあった。北海道から九州まで2000キロのローカル 
線がこの基準で廃止されたが、実は、赤字ではあるが収支係数の少ない東海道線の赤 
字額と、廃止されたローカル線のすべての赤字総額はあまり変わらなかった。かとい 
って、赤字金額を基準にして東海道線を廃止するのは無謀ではあるが...)
 
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 神戸JCT
 中国自動車道と山陽自動車道の分岐部
 第二名神接続後のモンタージュ画像
(「高速道路と自動車」
 2001年8月号から引用)
 かつて、日本道路公団から建設費と収益の一覧が提示された。このときのワースト 
は「伊勢湾岸自動車道」「東京湾アクアライン」「東京外環自動車道」だった。いず 
れも開通して間もない道路で、道路構造上建設費が多くかかっている。マスコミ 
(キー局)は、早速、伊勢湾岸自動車道と東京湾アクアラインを叩き始めた。東京外 
環自動車道は費用がかかったが、将来を考えれば意味のある投資と認識できたのだろ 
う。東京圏の人には外環道のない状況は想定できないくらい役に立っているので、容 
易に批判対象から除外させることができた。しかし、地の利のない伊勢湾岸自動車道 
はわからなかった。巨大な斜張橋3本で名古屋港を横断する構造から、東京湾アクア 
ラインと横並びで判断したのだろう。ところが、しばらくすると伊勢湾岸自動車道批 
判はなくなってきた。この道路が第二東名高速道路と第二名神高速道路を直結し、近 
い将来に重交通を担うことが理解できたからではないだろうか。ある意味、早とちり 
なのだろう。(元々、東海地区主催のマスコミでは、伊勢湾岸自動車道を(無駄と) 
批判する記事は見たことがない。)
 まあ、東京湾アクアラインもあんなに批判しなくてもいいとは思うのだが...