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沖縄のモノレール「ゆいレール」(道の川柳・森川晃)2



 アメリカの都市部で高速鉄道が発達、定着しているのは、ニューヨーク、シカゴ、
サンフランシスコなど数少ない。ほかの都市では自動車が唯一のアクセスで、通勤時
間帯の交通渋滞は深刻である。そのため、アトランタ、ロサンゼルスなどで高速鉄道
を新設して、自動車から鉄道への移行をうながしている。当初は、路線が少なく駅勢
圏が狭いのでなかなか乗降客は増えなかった。それでも路線を増やすごとに乗降客は
増えつづけている。まだ道路の渋滞を解消させるまでには至っていないが、CBD内
での時間厳守できる移動手段の存在は安心感を与える。
 
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 新旭橋から旭橋駅をのぞむ。
 久茂地川平行区間。(撮影・東長崎機関)
 沖縄へのモノレール設置は、ロサンゼルスに地下鉄を作ったときと同じようなケー
スだと思う。即座に満席にはならないが、地道に経営していけば必ず那覇市民のメイ
ンアクセスになるはずである。それが10年以内とは思えない。結局、鉄道文化は最
寄りの駅まで歩く文化なので、歩くリスクを越える利便性に慣れるには相当の歳月が
かかる。現在工事中の区間は来年度に開通するが、さらに端部を延長する計画があ
る。でも、これだけでは不十分なので、この路線と交差する2号線、3号線、さらに
環状線を計画してネットワークを構成するようにすれば間違いなくその利便性に気づ
くはずである。交通計画は荒唐無稽ではいけないが、本土で斜陽の鉄道文化が、長い
間鉄道のなかった沖縄で認められたらおもしろいなあと思う。
 
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  旭橋駅(撮影・東長崎機関)
全国各地で路面電車 (LRT)の復活を求める意見が出されている。路面電車を駆逐
したのは自動車のように思われている。一概には言えないが、実は競合する鉄道も
影響しているのではないかと思っている。郊外鉄道は中長距離を結ぶ担い手であり、
路面電車とは目的が異なり乗客を奪い合うことはなかった。ところが電車の性能が
良くなり、高加速性を活かして各駅停車でもこれまでの急行と変わらない所要時間
を維持できるようになった。したがって、短距離でも郊外電車を利用する方が有利と
判断し、路面電車から乗客が離れたのではないだろうか。
(例えば、広島駅から宮島口まで果たして全区間を広電に乗車するだろうか。)
 
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  泉崎歩道橋から旭橋駅をのぞむ。
沖縄には競合する鉄道はない。モノレールと自動車の一騎打ちである。モノレール
が絶対的な利便性を持てば、必ず乗客は増える。都市高速鉄道は一般的にはすべて各
駅停車である。高架、地下での追い越し施設の建設が大変だからなるべく作らないよ
うにしているせいだが、東京−名古屋間での新幹線のぞみ号の設定のようにダイヤを
工夫すれば急行の設定は不可能ではない。モノレールは加速性では若干不利ではある
が、とにかく最高速で営業し、さらに創意工夫で高速化をめざしてもらいたい。これ
は沖縄の文化への挑戦である。

  工事画像は、沖縄県のホームページなどに詳しい。
 http://www.pref.okinawa.jp/unyu.html
 http://www.geocities.co.jp/MotorCity-Pit/8592/mono_2001_1.htm