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松本准平の映画「まだ、人間」がDVD




映画雑誌「キネマ旬報」でメチャクチャ叩かれた映画「まだ、人間」が、
アンコール劇場上映に続いて、DVD発売となった。
 
バグパイプカトケンは、この映画に出ているわけでも制作に関わっているわけで
もないのだが、バグパイプ演奏での絡みが3回目。

最初に、感想文を書いたときは、ネタバレを防ぐために、歯切れの悪いものに
なったが、まあ、もうちょっと突っ込んで書いてもいい時期かな。
イベントは、新宿のネイキッドロフトだったので、
グラビア出身女優と監督のバトル(胸出すか出さないかで)もあり、
こういうバトルは本気だから、なかなか、迫真だった。



【で、ネタバレもありの感想文を以下に】


ドヨーンとした濁った悪い空気を描いた映画なのだが、画面の中や構成に、
ちょっとした説明要素が入っていて、論理的で筋が通った作り方をする監督の作
品だということを感じさせる。役者たちの会話のやり取りにも、視聴してる側の
意表を突く言葉の投げ方と、意図通りの言葉の配置の仕方が、なかなか良い割合
でねドヨーンとした悪い空気の映画なのにストーリーを追って最後まで見たくな
る気にさせる。でも、「2度と見たくない」という意見もあった。
 この悪い空気の上に夢も希望もなく落ちてゆくストーリーの中で、殺人事件
と、札束の出方が、異次元っぽくて、映画全体の中で浮いてる。殺人事件のよう
なセンセーショナルな事件ではなく、もっとどうでもいいショボイ事件なんだけ
ど、ここに出てくる人たちにとっては精神的に重大なんだ、という事件のほうが
よかったのではないだろうか。この監督なら、その「ショボイけど重大」を表現
できるだろう。
 札束もあのような出方ではなく、1枚1枚の札に魂胆のにじむような泥臭さが
あったほうが、全体のドヨーン空気にさらに重苦しさを加える。札束がポンと出
てくることによって、「たぶん、最後はなんとかなるんだ」という明るい出口を
感じてしまう。
 
  松本准平監督は、東京大学の建築学科を卒業している。彼の周囲の映画仲間
は「東大エリートっぽくない」というが、松本准平の、斜めな態度と、反論を我
慢するときの表情、そして、キレ方は、カトケンが早大理工時代に出会った天才
肌の友人にそっくりで、「なるほど東大工学部出の映画監督」と感じた。

 登場人物の中の1人が放つ「堕ちてゆく」オーラとその変化は、なかなか見応
えあるが、これは単に演技の巧さだけではなく、監督が役者の過去人生までを見
ての抜擢だという。26才で、ここまで人間を見抜けるんだね。


映画『まだ、人間』公式サイト