[加藤健二郎] 及川さんが戦場ジャーナリストマニアになったのは?
[及川眠子] もともとは戦争マニアだった。 で、いろんな本読んでたら、 A さんと B さんの言ってることが違うので面白いなと。
[健] では、もっと上の世代のジャーナリストは派閥とか、あるのかな?
[眠] あの頃は個の違いが際立ってる。沢田教一、一ノ瀬泰三、開高健・・・、みんな個性があった。
[健] アフガンやユーゴで戦場ジャーナリストが量産されたね。中米のときは、左陣営の人が多く「弱い人、かわいそう」だった。ボクは強い側から入ってるから逆なんだけど、現場では、現実を見ちゃうからお互いを認め合えるところあったね。
[眠] クルドとかやってる人は PKK 寄り。クルド人自身もあれはよくないと言ってるのに、クルドやってるジャーナリストたちは「いじめられたから PKK ができたんだ」と。
[健] 弱い側に視点が行く人が多い。弱いのには理由があると思うんだけど。ボクはどっちかというと「なぜ強いんだろう」というほうに興味がある。強い側でも苦労してるけど、たいていの弱い側はそれをやってない。
イラクでも、米軍が来るまで寝てて、来たら逃亡しちゃうイラク人より、米軍兵士はもっと大変な生活を送っていた。
[眠] 弱いものの味方はかっこよく見える。
[健] 強いのも大変なのに。クルドは3回くらい3つに別れてる。結局クルド人同士の内紛なんだよね。それが、それぞれサダムを呼んだり、トルコを連れてきたりしてるの見てると、この人たち、国を持たない方がいいんじゃないのと思ってしまう。
[眠] かわいそうだっていうけど何をすればいいの? 自治区? そしたら、クルディスタン以外のクルド人はどうなるの?
[健] そうやって、どんどん国が小さくなる。 パレスチナも、イスラエルと圧倒的な力の差があるにもかかわらず、イスラエルにタメ口きいてる。それが間違ってる。フツウだったら、タメ口きけるようになるために国力をアップさせる努力するのに、その努力をしてない。たとえ傀儡政権でスタートしたとしても50年くらい選挙を繰り返していけばちゃんと自分達の国になっていくのに。強い側には強いなりの理由ある一方で、弱い側はそうした50年の努力も最初から放棄してるんだなと。
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