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ノーベル賞を支えた下請け作業

(写真・文・早川友章)

小柴名誉教授のノーベル賞受賞で一躍有名になった
岐阜県神岡町、神岡鉱山跡にあるスーパーカミオカンデ。
華やかなお祭り騒ぎの裏にはそれを支えた
名も無き下請け作業員の奮闘があった!
(この記録は93年暮れに新たにスーパーカミオカンデを
設置したときの物語である)
鉱山跡の貯水槽で集められたデータは
光ファイバーを通して山の麓のセンターに送られ
スーパーコンピューターで処理される。
これがそのメインフレームのCPU部分。
作業はスパコンの設置と光ファイバーの接続作業。
光ファイバーは融着といって、特殊な機械を使って
溶かして接続する。接続部分がキレイな線になるのが理想。
くびれたり、太ったり、ずれたりするとデータ転送率が
落ちるのでやり直しとなる。

これがセットされた状態。両側にそれぞれセットして
まん中部分を融着する。セットするときは顕微鏡のような
感じでのぞき込み位置を調整する。
拡大写真。赤丸の中に透明な部分の線がある。
指先のわずかにピンクに見える部分が
被覆のついた部分。これは特殊な溶剤ではがす。
融着はデリケートな作業で(当時は)熟練を要するので
名も無き作業員の仕事は光ファイバーの皮むき。
光ファイバー自体は極細であるが簡単に折れるため、
直径約2センチほどのケーブルは何重にも保護皮膜で
覆われているために実は皮むきが一番時間を食う作業である。
末端部分は光信号を電気信号にかえるための変換器側との
接続が必要である。ケーブルは急な曲率で曲げると光信号が
減衰していしまうので収納する際も極力ゆるやかに
収納している。メタルのねじったり、ハンダづけしたり
というわけにはイカンのである。
坑道内の接続作業。当時のケーブルは最長のケーブルでも
センターまで引けなかったので途中の坑道内で
延長接続が必要であった。坑道内はトロッコが走っている。
入り口から数キロは一直線に掘られているので
中側からみると入り口の米粒程の光が見える。