東長崎外(国内)北海道

真駒内神社の巻

(写真/文:神博行)



真駒内神社


札幌市の真駒内には真駒内駐屯地や札幌五輪などが行われた競技場があるが、その周
辺に小さな小さな神社がある。
私もこの神社の存在を知ったのは偶然で、その存在は最近まで知らなかった。
小さな公園の一角に獣魂碑などとともに、明治天皇の行幸記念碑や昭和天皇の行幸記
念碑が建立されている。
昭和天皇の昭和11年行幸記念碑


明治天皇の行幸は開拓時代、昭和天皇は2.26事件のあった陸軍の北海道大演習の
時である。
北海道の歴史としては近代に入ってから開拓が行われたので札幌では古い歴史のある
印でもある。
真駒内神社の御祭神は天照大神、倉稲魂神、菅原道真である。
明治32年頃から馬魂祭を行っていたことが始まりで、昭和9年に伊勢神宮より御分
神を受け真駒内神社が創立した。
明治天皇の行幸記念碑


この小さな神社にも歴史がある。
戦後真駒内は米軍に占領された、現在の陸上自衛隊真駒内駐屯地より遙かに広大な土
地を米軍は接収した。
米軍にとって、日本の文化や宗教、神仏などの信仰に敬意を払うことはなかったらし
い。
米軍の駐留するキャンプには必ず教会が建設され、現在も真駒内駐屯地に残されてい
るが、キリスト教以外の宗教は異教徒で排除しても構わないとでも思ったのか「神社
は邪魔だから撤去しろ」と命令された。
神社由来


社殿の撤去を命ぜられ、敗戦国民であった日本人でもさすがに黙っていなかった。
氏子代表が米駐留軍司令官スイング少将に請願しなんとか許可された。
その辺の詳しい事情は残念ながら解らないが、きっと簡単な話ではなかったであろ
う。
なんでも米軍の言いなりになっている昨今の日本人より気骨があったのかも知れな
い。
その後食物を主宰する神、倉稲魂神を祀るようになった。
この小さな真駒内神社でも時の権力者から守った者がいたからこそ現在も残されてい
るのだ。