東長崎外(国内)北海道

平成21年自衛隊紀行-13

(写真/文:神博行)


『11旅団レンジャー取材雑記』
助け合ながら離脱する戦闘隊

しかし、それだけ苦労して撮影する価値のある被写体がある。
疲れて走ることの出来なくなった仲間の手を引っ張り、背中を押して走る
レンジャー学生の姿があったのだ。
 倒れそうな仲間の手を引っ張り助け合いながらドラマが生まれる
レンジャー取材はドラマチックなことがあちこちで起きるのである。
本当に感動的なシーンも見たし、人間性というか人間の本性のよう
な部分が極限状態で浮き彫りにされてゆくのも垣間見た。
潜入後やっと拠点に到着し食事する戦闘隊

レンジャーを題材に映画が作られないのが不思議な感じだ。
海上保安庁を題材にした「海猿」なんて目じゃない世界がそこには
あるのだ。もっとも自衛隊映画は自衛隊の協力無しでは成立しないし、
自衛隊の協力を得れば「描きたい」シーンは撮れない可能性も多々で
てくる。
疲れ切り居眠りする学生、睡魔が一番の敵?

それは自衛隊取材も同様なのだが、自衛隊批判はしなくてもイメージ
を損ねるようなシーンは協力を得た以上使えないのである。そんな検
閲を経た作品だと、本当の心の葛藤やレンジャーの厳しさは描けない
と思う。
装具点検のため整列する

「真実の姿」までゆかなくても、真実に近い姿で、レンジャーの厳し
さを紹介するのには、私もとても悩む日々なのである。
書けないことが多すぎるのである、だが「そこ」を書けずして感動に
繋がる話はやっぱり書けない。
隊容検査の準備をする学生

取材でお世話になった方々に迷惑はかけられない、だからお蔵入りす
るか当たり障りのない所でお茶を濁すかの葛藤もまたレンジャー取材
の醍醐味であろう。国を守るため、こんな厳しい訓練をしていると紹
介しても誤解を受けたり、わざと誤解して自衛隊批判に繋がるのでは
レンジャーを紹介する記事を書くのもかなり慎重になってしまう。