インフラ海外拠点キプロス

キプロスのダンス学校 1


(報告:常岡千恵子)
 地中海に浮かぶ、愛と美の女神アフロディテの生誕地、キプロス。
 イラク戦争やSARS騒動など、世界的狂乱が続く中、この小さな島も変化
の時を迎えようとしている。

 キプロスは、歴史の荒波に翻弄され続けてきた島国だ。20世紀に入っても、
英国の支配を受け、1960年には「キプロス共和国」として独立したものの、ギ
リシャ系住民とトルコ系住民の闘争が激化。そして、1974年にトルコ軍が侵攻
し北部を占領して以来、南北分断状態に置かれてきた。1983年には、トルコ側
の「北キプロス・トルコ共和国」が一方的に独立を宣言。

 国連もキプロス問題解決に取り組んできたが、なかなか再統合交渉はまとま
らない。一方、2003年4月のEUアテネ首脳会議で、ギリシャ系のキプロス共
和国の2004年5月のEU加盟が決定した。

すると2003年4月23日、北キプロス・トルコ共和国が突然、南北境界線を29
年ぶりに部分開放し、南北往来を許可。この日から、境界線を越えようと、人
々が検問所に押し掛けた。

   http://www.smh.com.au/articles/2003/04/24/1050777360070.html

 今回のトルコ系北キプロスの動きは、ギリシャ系キプロス共和国のEU加盟
を前に、北キプロスが再統合交渉で強硬姿勢を示したため、国際批判をかわす
のが目的だという説もあるが、キプロス人にとって歴史的事件であることは間
違いない。
 2003年4月24日、29年ぶりにトルコ側の土を踏んだ、ギリシャ系キプロス共
和国のエレナと愛息のマルコスくん。この日、エレナは、トルコ側にある祖母
の家を訪れ、旧友との再会を果たし、感動の一日を過ごした。もちろん、マル
コスくんにとっては、初めてのトルコ側訪問。

 なお、今年1月の「新春・ゴジラ神社初詣」で名前の挙がった、ゴジラ・フ
ァンのマルコスくんとは、彼のことだ。日本から母のエレナ宛に送られたゴジ
ラの写真を、自分だけの秘密の場所に隠してしまったのだとか。
 EU加盟が実施される、ゴジラ生誕50周年の来年には、和平が叶うといいね。
 実はエレナは、キプロスでも有数のダンサー。右端で、バレエの指導をして
いるのが、エレナだ。世界的に有名なロンドンのダンス・スクールのラーバン
・センターで腕を磨き、1989年、故郷で「シアター&ダンス ワークショップ」
を設立した。

 現在、生徒は3歳半から99歳(!)まで、100名を数え、クラシック・バレエ、
コンテンポラリー・ダンス、ドラマ、ヨガ、太極拳、即興ダンス、振り付けな
どを教えている。
 英国のロイヤル・アカデミー・オヴ・ダンスの公認学校で、卒業後は英国、
フランス、米国、オランダ、ギリシャに留学する生徒も多い。

 キプロス共和国では、ダンス・ブームが続いているそうで、人々は体を動か
す喜びを満喫しているようだ。
 神話の島・キプロスには、踊りがよく似合う。

続く