活動出版関係のトピックス|>イラン

ジャーナリスト宣言前の朝日新聞記事




「ジャーナリスト宣言」をしたり、撤回(自粛?)したりしている朝日新聞だ
が、ある元朝日新聞記者が、「この十年で朝日も含め新聞記者のレベルが落ちて
る」と言っていた。では16年前、カトケンがネタ提供している1991年の朝
日新聞記事を見てみよう。
1991年1月3日発、1月4日発売の朝日新聞。
湾岸戦争開戦直前のイラン・イラク国境付近のことである。

では、現場イラク国境付近のカトケンと、テヘランの朝日新聞支局がやり取りし
たときの会話を以下に再現します。

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朝日
「イラクの近くのそんなところまでよく行かれましたね。だいたい皆、フーゼス
タン州に入る前に捕まってるんですよ。最近イラン当局から入ったニュースなん
ですけど、フーゼスタン州などイラクに接する3州で大規模な軍事演習が始まる
んですよ。期日は1ヶ月ということで、今は、軍が集結している時期かとおもう
のですが、そういう動きはありますか?」

カトケン
「1ヶ月とは長いですね。こちらの噂では、演習は1月10日からとのことで期
間は、せいぜい1週間です。軍の動きは多いです。電話局は兵隊でいっぱいで、
実家に休暇取り消しで帰れないコールの電話してます。動員兵力は部隊内では
20万といわれてるそうです。戦闘車両と、ロケットラチャーがイラク国境のほ
うへ移動していますが、イラク国境からかなり離れたところです」

朝日
「戦車の型はわかりますか?」

カトケン
「戦車じゃなくて、水陸両用戦闘装甲車です」
(確実にイラク治安警察に盗聴されてる電話で兵器の型番なんか訊くとは、さす
が天下の朝日新聞だ。PT−76の中国製コピーだったのだが、それを言うわけ
にはいかなった。)


朝日
「イラクとの戦争で捕獲したソ連製ですね」

カトケン
「そうとは言い切れません。イラン軍も持ってるものです。ソ連製とも言い切れ
ません。中国コピーの可能性が大きいです」

朝日
「いやたぶんイラクのです。私にはわかります。他気づいた点は?」

カトケン
「自走40連です。あとはイチゴーニ牽引です。こちらは防御配置で、イラク国
境へ向かう動きはありません」
(これも、盗聴されてる電話でそのまま言うわけにはいかない)
(自走40連=BM21)
(イチゴーニ牽引=152ミリ榴弾砲)

朝日
「ミサイルですね」

カトケン
「ミサイルではありません、ロケットです」

朝日
「カチューシャはありますか?」

カトケン
「ロケットです」
(俗称カチューシャで正解なのだが、盗聴を意識して、朝日の質問には肯定せず
とした。カチューシャという俗称は、ほぼ全世界的に通じる可能性がある)

朝日
「対空兵器は動いてますか?」

カトケン
「対空兵器はマシャール南方のガレージの中でシート被ったままです。動いてま
せん」

朝日
「そうですか。対空ミサイル出ているという情報あるんですが」

カトケン
「ここフーゼスタン南部では、動いてません。あの状態だと、実戦配備にするの
に2日くらいはかかりそうです。ガレージの中です」

朝日
「いやぁ、すごいところにいるんですね。私なんか、その地域はいくら申請を出
しても一度も許可が下りないんですよ」

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この記事掲載については、情報提供料もギャラもいただいてませんが、
朝日新聞テヘラン支局からは、夕食とお説教をいただきました。
あっ、記事掲載報告もいただいてなかったか。
というわけで、過去記事検索のスペシャリスト氏に探し出してもらいました。

情報提供者を特定できる記述がなく、まるで朝日新聞記者の独自取材のような表
現だったので、スペシャリスト氏も苦労したようです。
あっ、朝日はカトケンに対して独自取材してますね、ハイ、そうでした失礼。

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 <-単行本「戦場へのパスポート」の目次部分



  このときのイランでの体験記については、
  「戦場へのパスポート」に詳しく書いたが、
  この本は、ほぼ完売してしまってて中古本のみかも。
  次にお薦めなのは
  「戦場の現在(いま)―戦闘地域の最前線をゆく」
  (集英社新書)だが、朝日支局については書いてない。