「自衛隊のしくみ」は、2004年1月に発売されて、それからすぐに2刷が増
刷されたのだが、そのあとに、どんどこどんどこと、自衛隊絶賛本がたくさん出
たため、もう過去のものとなってしまっていた。
しかし、よく読んでくれた人は、この本に書かれた、自衛隊防衛庁のちょっとき
な臭い部分にちゃんと目が止まってしまったようだ。
ってなわけで、以下のような雑談という名の取材をしましたが、商業誌はいろい
ろとめんどくさいので、東長崎機関に載せておきます。
「自衛隊のしくみ」(日本実業出版社)
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東長崎機関:
接待だとかそんなのは、私はどうでもいいんですよ。興味があるのは企業の力です。
かなり前のはなしですが、三井物産が取ることに表向きにも決まっていた**の
納入が、その後、山田洋行に突然変わったウラはなんなんですか?
防衛業者:
防衛産業にある暗黙のルールに対する違反というか。
東長崎機関:
厳密な意味での自由競争をしない、というところですね。
でも、それをひっくり返せる力というのは凄いのでは?
防衛業者:
山田洋行が凄いところは、米国の大手を動かせるところです。
東長崎機関:
米国の大手と特別な繋がりがあって、その米企業の日本に対する出先機関ですか?
防衛業者:
そうおもわれる面はありますが、私は、そうとは言ってませんよ。
東長崎機関:
他の商社はどうなんですか?
防衛業者:
山田洋行ほどのことやってる商社はないかと。山田洋行が問題多いことは、業界
ではわかりきっていることでしたから、あそこと関わってしまってる官僚や政治
家は、みんな、わかっててやってます。「悪い業者だなんて知らなかった」なん
て言い逃れ、業界内では、お笑いですよ。
東長崎機関:
商社全部をはずすような発言、石破防衛大臣がしましたね。
防衛業者:
商社よりもっと悪質なのは、国内メーカーのいくつかの社です。
東長崎機関:
水増しでは、メーカーのほうが金額や数、大きいですね。
防衛業者:
代表的な水増しの方法は、単価の安い子会社に全てを作らせて、親会社の人件費
や設備費の基準で請求することです。これは、社内に立ち入り捜査して押収する
ところまでやらないと、外部からいくら細かくつっついても証拠の数字は出てき
ません。商社のほうは、定価が**で、納入価格が**では、マージン取りすぎ
だとか指摘されやすい。メーカーは、定価を決められますから、水増しのからく
りはなかなか解明しにくいです。
東長崎機関:
防衛省は高い値段に対してイエスマンなのですか?
防衛業者:
防衛省の役人は、価格の世間基準も知らないし、自分の金じゃないから安くしよ
うという意識もないからカモですね。商社を外して外国メーカーと取り引きした
ら、とんでもなく高い値段にされても気づきませんよ。相手企業には、生産ライ
ンの状況とかいろいろな環境があって、値段を値切れる隙があるんですが、防衛
省の役人に、そんな駆け引きの発想はありません。
東長崎機関:
AWACSをえらく高い値段でやられた、あのようなパターンですね。
防衛業者:
役人が判断するとあんなもんですよ。山田洋行のほうがまだマシ。
私は、社内規定で、同業他社のことも喋れないことが多いので、このへんで。 |