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ベストセラーの旅行人的読み方



上下2巻の分厚い本で、ものすごい字数である。
現実とはあまりにかけ離れたこと、明らかに間違っている
ことを空想で書き並べて、これだけの字数を埋めてしまう
能力にはびっくりした。現実、事実、自分の体験を元して
書くことならできそうな気もしたが、空想だけでここまで
書けるって、やはり小説家の脳って凄い。

小説をそこそこは読んでる知り合いに相談してみた。

「村上龍の小説解説記事やってんだけど、褒める部分が見
つからなくて困ってるんだよね、でも魅力があるから売れ
てるんだよね。どういう点が褒める部分になりえると思う?」
「村上龍というかっこいい人が書いてるっていうことが大
切なんだよ」
「軍事や戦争に強い小説家といわれてるわけではないよね」
「それはないよ。生き方がかっこいいとされてるんじゃな
いかな。どういう感じで書かれてたの?」
「武器の固有名詞とかはいろいろ出てきてるんだけど、無
意味に並べられてるだ
けで、全体ストーリーに現実性がなくて、しかもストーリー
の組み立てが粗雑なんだよね」
「固有名詞を並べると専門知識があるっぽくて、かっこい
いじゃん」
「あっ、なるほどね」


季刊「旅行人」2005年夏号に掲載されてます。