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海外メディアの"靖国神社"報道 7

(報告:常岡千恵子)


  さて、次は、米一流誌の報道である。
  これまでも多くの記事に登場した東條由布子氏が、再び脚光を浴びてい
る。

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『ニューズウィーク』(米)    2005年6月27日号
     −東條氏の亡霊
  東京のカフェのテーブルに座った東條由布子氏は、小さな箱から東條家
の形見を取り出した。
  使い差しの鉛筆2本、間に合わせの紙製のタバコ・ホルダー、封筒に入
った髪の毛――彼女の有名な先祖の獄中の最後の日々の遺品である。
  彼女は、タバコの吸い殻を拾い上げ、「彼が処刑の前に吸った最後の一
服です」と説明する。

  問題の彼女の祖父、東條英機は、日本で最も悪名高い戦時中の首相であ
り、現代の日本とその近隣諸国の関係をこじらせ続ける靖国神社に祭られ
た14人のA級戦犯の一人である。

  東條由布子氏は、他の東條家遺族同様、日本の戦争の遺産と、その中で
彼女の有名な親族が果たした役割について、数十年間、発言を抑えてきた。
  しかし、最近、彼女は見解を明確にしている。
  66歳の東條氏は、反対派は中国の経済的圧力に屈しているだけで、彼
らの弱腰は気にしないと語る。
「日本が魂をどう祭るかは、国内問題です」という。

 少なくとも、この点において、彼女は首相と意見を同じくしているよう
だ。

 だが、首相の靖国神社参拝中止を求める声は増し、小泉首相の後継者争
いの試金石になりつつある。
  有望な後継者候補である安倍晋三・自民党幹事長代理は、靖国神社参拝
を支持している。

  靖国問題は、誰が首相になってもくすぶるだろう。
  国学院大学の神道エキスパート、井上順孝氏は、かつてある神社から魂
を消した前例がある、と指摘する。
  落とし穴は、現代では神道の教義は、主として神社本庁によって承認さ
れることだ。
  神社本庁は、明らかに小泉首相の参拝を望んでいる。
  井上氏は、「時間だけが解決してくれると思います」という。

  残念なことに、日本の国際的な評判には、そのような贅沢が許されない
かもしれない。

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  東條由布子氏は、日本のテレビより海外メディアを優先し、東條家の遺
品を公開し続けてきた、国際派であることがわかる。

  ところが、その国際派の彼女が推進する運動によって、日本の国際的評
判が傷ついているとしたら、何とも皮肉なお話。

  東條由布子氏が愛国主義者であることは、誰もが認める事実であろう。
  とすると、彼女は、こんなに借金を抱えた日本のために、国連安保理常
任理事国入りを、阻止してくれているのかもしれない。

  さらに、危険度が高くなって、交戦規定も激しくなって、今じゃ先進諸
国の間ではすっかり流行遅れとなったPKOに、自衛隊が参加しなくても
いいように、戦ってくれているに違いない。
  さすがは、国際派の東條由布子氏!  わかってらっしゃる!!!

続く