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動画配信「予告編」より カザフスタンで撮影したウイグル少年テーマの映画。監督の佐野伸寿は、陸上自衛隊の現役自衛官である。自衛官にも、映画制作の才能に秀でた人がいる。制作だけではなく、現地カザフスタンでの公的機関などどの交渉にも優れていなければ作れなかった映画である。こういう人が、自衛隊にいるということは、日本の国防も心強いね。 AK74小銃で訓練を続ける少年の動作が、どんどん熟達していくさまは、さすが現役軍人(自衛官)が監督した作品だ。ノーカットロングシーンのカメラワークが非常に表現豊富なものが何回かあった。ノーカットのロングで飽きさせないカメラワーク、しかも、それほど動きのあるシーンではないものであもり、なるほどこういう表現もあったか、と「驀進バグパイプ隊」編集部としては勉強になる。 そして、後半の緊迫シーンでの選曲が、広大なるソ連ユーラシアの大地感。カザフスタンがテーマなのにモルダビアの軍歌が流れる。このモルダビアの軍歌の前にチョロッと流れていたサビは、ポーランド人が作った歌だったようにも聴こえたが違ったかな。スラブ娘の別れが、そのあと続くのは、そのシーンとしては納得なのだが、モルダビア娘が出てきたのは、分離独立してもカザフはソ連文化圏ってこと。やはり、ソ連をテーマにした映画では、音楽に詳しいほうが楽しめる。 この映画を、より自分の感受性が楽しみたい人は、観る前に、解説などを読まないほうがいい。登場人物の背景などを知らないまま観たほうがずっと楽しめる。もう、読んじゃった人は、それはそれは残念。映画の楽しみ方の基本は、解説書や事前情報に頼らず、画面のみから吸収し楽しむことじゃないかな。というわけで、ここではネタバレ最小限のマニアック視点オンリーに留めたつもりです。 映画『ウイグルからきた少年』公式サイト |