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映画「死化粧師オロスコ」




死体写真といえば、釣崎清隆。
この映画のウワサを聞いたとき、釣崎の撮った死体なら、写真ばかりでなく、死
体映像としても最高峰である、という揺ぎない信頼を持てた。とりあえず、私も
戦争を商売にしていて死体写真にはかかわっていたので、釣崎氏の作品を見ては
「すげぇヤツがいるなあ」という意識はしていた。

 で、今回は、死体をテーマに静止画から動画(映画)となった。死化粧の作業
に密着撮影である。グロテスクな死体を、葬式までには綺麗な安眠死体風に仕上
げる仕事があることは、知られていることだろう。だが、その作業をこうして動
画で見ると、それはそれは、貴重なドキュメントだ。「なるほど、確かにこう扱
うしかないよな、なるほど、ここは、けっこう力仕事なんだな。なるほど、これ
は死体への愛がないとできない作業だ」などなど・・・・・。自分もいずれ死ん
で、いずれこうなるのだ。だからこそ、この1つ1つのシーンには引き込まれ
る。そう、これは自分自身が行き着く姿。

 私も、死体には、戦場、山岳遭難などいろいろかかわってきたので、その感
触、匂いなどわかっていたが、「音」は、この映画で始めて聞いた。死化粧の作
業では、腐った内臓を取り出すために、死体を切り裂くシーンがあり、そこに
は、包丁で腹を切る音がしっかりと入っている。内臓が飛び出すときの音もしっ
かりと入ってる。どういう音か、はここでは暴露しません。

 実は、この映画のサンプルDVD、コロンビアが舞台なのでスペイン語なのだ
が、私のパソコンでは字幕が出せなかった。だが、字幕がないにもかかわらず、
映画の伝えたいことは十分すぎるほどわかった。つまり、完全に、映像だけで勝
負し、字幕やセリフに頼らず、それでも、ズバッとほぼすべてを伝えてしまえて
いる、こういうのこそが力のある映像作品なのだろう。

日本映画が外国で売れるかどうかには、翻訳字幕の出来にかなり左右されるとい
うが、釣崎氏のこの映画には、そんな小手先テクニックはいらない。「映画は映
像だけで勝負せい」という挑戦状だ。こういう形で挑戦状たたきつけてくると
は、さすが、死体屋の釣崎清隆だ。
                                    
                                                   (加藤健二郎)



死化粧師オロスコ

2008年3月22日より、アップリンクXにて、劇場公開(20:45〜)レ
イトショー