<感想>
「映画日本国憲法」は、憲法第9条が、日本国内、または日本とアジア諸国の関係の上で
語られるときとは違う視点に気付かせてくれる。
「護憲」=左の人たちのものというイメージが出来上がってどのくらい経つだろう。
ことさら、改正したいとも思えないけど、反対には拒絶反応を起こす人も少なくないのではな
いだろうか。
でも、そんな先入観を脇に置いてインタビューを聴いていると、なるほど、第9条が、それを持
たない国から羨ましがられるアイテムだということがわかってくる。こんなにお得で便利、かつ
最強の武器は、望んでも入手できないだろう。日本人に生まれて、ほんとにラッキーだ。
そもそも、着々と老齢化が進む日本では、理想の自国軍を維持するための兵隊が不足する
だろうから、周辺国から傭兵を雇うのだろうか?老人とロボットだけで運用可能なように軍事
産業を発展させるんだろうか?どう考えてもお笑いになってしまうのは、想像力が足りないの
だろうか。いまや、軍需産業がおいしくない時代なのに?
「憲法改正はけしからん!」という連呼も、何故よくないのかという話を聴く耳を閉ざしてしまう
効果があるが、改正推進の理由も説得力がないように感じる。
そんなアピール合戦より、もっと楽しい人生を送れる国づくりを考える人がひとりでも増えてい
けばいいな、と思わせる映画だ。いや、現代において、大事なのは実体ではなくアピールなん
だっけ?
貴重な資料としてもお勧めの作品である。反響がよいため、東京では、当初より上映開始が早ま
るという珍しい現象も起きているようだ。
(チップ)
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映画で一部が紹介されるインタビューの全体は、書籍「映画日本国憲法読本」で読むことができる。
「映画日本国憲法」DVDも発売されている。
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