<感想>
タリバン支配下の抑圧された女性を描いているという触れ込みであったが、
事前情報による先入観が強すぎたせいか、思っていたほど悲惨ではなかった。
それよりも、戦争が日常になっている中で生きていくしたたかさと
フランス語みたいな言葉(イラン映画だからイランのペルシャ語?)が
印象的だった。
カラフルなブルカの一団は、慣れない目からみると特異な光景だが、
彼女達の声は伝わってこなかった。ささやかな抵抗(というより、こっそり
自分の希望をかなえたいという行動)が垣間見れる程度だ。
部外者も伝統的な支配者も、女性の扱いについていろいろ主張しているが
肝心の当事者たちの意見はまるでわからない。そこが一番知りたいところ。
饒舌だったのは、あくまでも外からアフガンにやってきた人たちと男達。
寡黙でシブい路線など、ここでは価値がないみたいだ。
平和ボケを悪だと主張する人々にとって、このように戦争が日常になっている
世界こそ理想郷なのかもしれない。が、戦争を続けなければならない必然性は、
結局理解できなかった。
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次回作の撮影に入ってしまい来日できなかったマフマルバフ監督の
メッセージをUNHCRの偉い人が読み上げていた。ユネスコから贈られた
「フェデリコ・フェリーニ」賞は、飢えの足しにはならないけど
希望の星にはなる、とちょっと皮肉をこめたメッセージだった。
(義頭)
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