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<感想>
公開当時の1980年は、アメリカ政府の欺瞞の部分があまりにも明確に描かれ
すぎているということで、49分間に及ぶ問題シーンがカットされていた。しか
し、21年たった今も、アメリカ政府は、同じようなことをやっている。
「ベトコンはアメリカが支援して育てた」「銃弾をぶち込んでから手当てをす
る。なにもしなければいいのに」などのセリフが出てくる。ベトコンをタリバー
ンに置き換え、銃弾を空爆に、手当てを経済援助に置き換えてみれば、そんな気
がしてくる。
ラストシーン、21年前に観たときには眠くなってよくわからなかった。しかし
やはり、カーツ大佐が、なぜ神がかり的に尊敬されて軍団を率いていたのかは、
まったくわからないままだ。
戦場に来る慰問団のギャル歌手たち。指揮官のいない部隊。これらは、私も現実
に、戦場取材の中で出会ってきている。確かに、この映画は「反ウソ」というだ
けのことはあるかも。
(加藤健二郎)
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未公開だった追加分だけで49分!、上映時間3時間半以上だと告げられたときは
気を失いかけたが、なかなかどうして、あっという間に終わってしまった。
あまりに今とダブる内容だったからか、20年前の作品とは思えなかった。
前半のヘリの群舞は、大画面ならではのカッコよさ。
舟に乗って川をさかのぼるにつれて、正義の味方の派手派手デモンストレーション
場面から、徐々に化けの皮がはがれ、欺瞞の素顔が表面化していく過程が、
まるで、ディズニーランドのアトラクションの手法のようでもあり、
よけいに皮肉に感じた。
現地に住んでいて戦争に巻き込まれたフランス人入植者のセリフが印象的だった。
「私は、ここの住人だ。この土地は私のものだから戦っている。
アメリカ人はなぜ戦ってるんだ?」
コッポラの代理で挨拶していたスタッフが「反戦映画ではない」と強調していたが、
結局、誰もが戦争なんかやっていたくないように見えた。
そして、優秀で冷静な人ほど味わいつづけなければならない孤独が、
全編を覆っていた。
(3月うさぎ)
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