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「アジアン・ルーレット」(祥伝社文庫)著者:岡崎大五 東南アジアのタイ・バンコク、日本の山谷、タイ・マレーシア国境やミャンマー 国境などを舞台にした、闇ビジネスや警察腐敗の中を渡り歩くバックパッカー上 がり南洋ゴロたちのアクティブ系な小説。華僑やゲリラ、イスラム過激派、日本 赤軍関係、傭兵などがいろいろ出てくる。娼婦や恋愛系があまり出てこないとこ ろが岡崎大五の出身を現しているのかな。岡崎大五は、旅行人という蔵前仁一 ワールドで育った作家であり、旅行人が避けているのが恋愛など男女のどろどろ 系なのだ。 いくつかのネタを提供したということで、著者の岡崎大五さんから、贈呈され た。つまり、この本の中には、カトケンの提供したネタがいくつか散りばめられ ている。彼とのつきあいは、彼が日本へ帰国し山谷に住み着こうとしていた 1993年4月以来の長さなので、いろんな雑談をしてきているわけで、どのネ タが自分発なのかが、もう把握できないが、戦闘シーンではないようだ。まあ、 私の話した戦闘シーンは、カトケンもあっちこっちで著書や雑誌に書いてしまっ ているので、それに似た表現になる危険のあることをおもえれば、作家としては 使わないほうがいい。盗作疑惑がでてしまう。 筆者の岡崎大五の生き方を知る者であれば、彼自身の山谷での暮らし体験とリ ンクさせて、よりリアル感を持って読める部分が多い。私も、山谷でクラス岡崎 大五に会いにいったり、山谷のガストで時間つぶしのゲームをする彼らの輪の中 に入ったこととはある。作家志望のインテリおじさんがいたのも確かだ。 (加藤健二郎) |