<袴より>
「デカ/チビ問題」は、わが国が安政元年に開国して以来の深刻な課
題である。明治時代には「なんとかしてチビでも白人に勝てる方法はな
いか」と必死で模索した。昭和20年には「こんな体格だからアメリカに負
けたのだ」と悟らされた。そして経済大国として復興した後も、チビである
ことは、日本人の負い目であり続けている。スーパーモデルのケイト・モス
が、実はそんなにデカくないのだと知っても、誰もそれを慰めとは感じない
のである。MLBのマグワイヤーやNBLのマイケル・ジョーダンやNFL
の誰それの偉大な体躯を見せつけられるにつけ、日本人は何度でも「チビ
ではいけないのか」と思わされるのである。(「まえがき」より)
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<感想1>
陸上競技のトレーニングは、軍馬や競走馬の調教方法をもってきたものが多く、今で
も、人間のトレーニング理論が馬の調教よりも遅れている面がある。身体を極度に痛めや
すいスポーツは、選手寿命が短いため、大衆スポーツとしてはよろしくない。優勝選手の
名前も覚えないうちに身体を壊して引退・世代交代となってしまうだろう。選手の危険、
苦痛があるていど大きくならないと人気スポーツにはなりづらい。格闘技で真剣勝負な
ど、そう長い時間連続してできるものではない。
兵頭氏の論理には、改めて発見させられること、「やっりか」と確認させられることが
多い。戦場でも、歴戦の兵隊というのは、肉体的・精神的に故障が多く、案外、やる気マ
ンマン怖いもの知らずの新兵よりダメだったりする。
(高等遊民)
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<感想2>
「各種競技におけるデカ/チビ問題」というサブタイトルが、そそられるではないか。
スポーツをこんな風に料理するとこんなにおいしかったのか、という痛快な一冊だ。
メインテーマのほかに、なぜアメリカで盛んなのがサッカーではなく野球なのか・・・等、
ずーーーっと疑問に思っていたけど誰も教えてくれなかった問題をまじめに分析してく
れてるのが嬉しい。ぬかりなく、アームレスリングもフォローされている。デカ/チビ、
どっちが有利か? それは読んでのお楽しみ。
(十四子)
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