当方は軍事に特別な思い入れはない。ただ本を読む癖があり、活字ならば何でも受け入れているだけである。それでも総量が多くなってくると特定の分野だけに着目しても結構マニアに負けない量になってしまう。軍事のうち自衛隊だけに絞ってちょっと確認してみたらすぐに10冊見つけた。それになぜか「軍事研究」なる雑誌もあり、これらと見つけた10冊をまとめて、さらにほかの軍事関連本(主として中東、北朝鮮、中国)を集めると軍事オタクそのものである。これは特定の宗教や左右いずれにおいてもオタクになりすませるということでもある。
自衛隊本には3種類ある。礼賛、揶揄、資料。当方は、確かな資料をベースにしていれば、礼賛、揶揄のいずれも受け入れる。つまり、素人目でみても取材の甘いA新聞系は受け入れないということだ。この本は、資料をベースにしてやや揶揄しているように思えるが、それほど偏りのないものだ。おそらく作者は礼賛 派と思われる。不甲斐なさを揶揄で叱咤激励しているような感じがする。
この本でも(おそらく)一箇所(だったと思う)、東長崎WEBサイト主催の軍事ジャーナリストである加藤健二郎氏のことが記されている。数少ない同業者として横のつながりは大切にしているようだ。ちなみに先述の「軍事研究」は友人でもある加藤氏にいただいたのがきっかけで継続したのだ。雑誌は簡単には まってしまうので本当に怖い。
ところで、この本はBOOKOFFで入手した。ノンフィクションコーナーに割りときれいなかたちで陳列してあった。前オーナーはあまり読み込んでいなかったようだ。実は、ほかにも軍事関連本がいくつか並んでいた。国際情勢コーナーには湾岸戦争、アフガン、イラク戦争に関する本が多数見つかった。当方はBOOKOFFには定期的に3店舗に出かけているが、確か先週はこんなに軍事本は置いていなかったと思う。誰か、まとめて放出したのだろうか。もし、同じ人が放出したのならばかなりの軍事オタクである。当方が入手した清谷氏の本がきれいだったのは非常に丁寧にあつかい、その後も陽のあたらない、ほこりのたまりにくい場所に保管していたのだろう。そして、BOOKOFFの書棚をながめていて、雑誌コーナーに大量の「軍事研究」が揃っていた。間違いない。この地域には確実に軍事オタクがいる。なぜ、放出したのだろうか。よくあるのは、オーナー逝去後、遺族にこの分野を理解するものがいないケースである。
BOOKOFFは売れるものだけを置くので、本の外観、および発行年しか着目しない。戦前に発行された本は遺跡として価値があっても、BOOKOFFでは単に古くて汚い本ということで店頭には並ばない。それでもマニアにきちんと管理された美本は稀に置いていることがある。さすがに戦前の本は見たことはないが、昭和30年代くらいに発行されたものならば稀に見つかる。くだんのこの地の軍事オタクはどういう経緯だったのだろうか。軍事研究の最も古いものでも1990年代である。年季の入ったマニアではないようだ。15年間マニアだった人が何らかの事情で飽きてしまったのだろうか。少なくとも金に困ったということではないだろう。付加価値を評価しないBOOKOFFでは全部で1000円にもならないと思われる。
という具合に、古書店はドラマを見つけて楽しめる。神田のちゃんとした古書店ならば、時代のレンジがさらに広がる。妄想でいくらでもストーリーが浮かんでくる。こうして作家は誕生するのか。いや、ただの病気だろう。 |