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映画「アメリカばんざい」(crazy as usual)


(2008.6 加藤健二郎)

映画「アメリカばんざい」(crazy as usual)

米国では、イラク帰還兵、ベトナム帰還兵のホームレス率が高いということを訴 えるドキュメント映画。この現実は、あまり、知られていないことなので、そう いうことを見せてくれるという点でも、ドキュメント映画としての価値はある。

祖国のために戦った兵士は「英雄」として尊重される時代はもうずっと昔のこ と。いや、実は、ずっと昔の戦争でも、「兵士は英雄」なんていうのは、誤魔化 し文句で、元気で騙されやすいな若者を駆り立てるために、軍隊の制服できらび やかなのだ。戦場で手柄を立てた者や、死傷した者に、それ相応の報酬を与える 気がないから「勲章」なんていう記念品で誤魔化すのだ。兵隊が閲兵行進するよ うな式典で、なぜ煌びやかに着飾るのかというと、それは、戦場の劣悪さ、無意 味さなどを隠すためである。

ドキュメント映画にありがちな、1つ1つのシーン、テーマが長すぎて観ている 側が疲れるという弱点はあるが、海兵隊の精神教育における「担え銃」の訓練 シーンがノーカットで3〜4分続くシーンは素晴らしい。ノーカットがあるがゆ えに、海兵隊の「carzy marine」ぶりがわかる。でも、シーンの中の軍曹、「フ ルメタルジャケット」ほどは怖くなさそうだ。やはり、「carzy marine」でさ え、時代とともに、優しくなってるのだね。海兵隊新兵は、当然ながら新デザー ト迷彩。

せっかく、海兵隊のブートキャンプでの新兵訓練取材をできているのだから、 もっともっと海兵隊の「carzy marine」ぶりを映画の中に多くしてほしかった が、映画制作の意図が、反戦平和思想系なので、軍のシーンを多くすることは、 気持ち的に許せないのかもしれない。「いわゆる、かわいそうな側」にしかカメ ラを向けていない。

「アメリカばんざい」(crazy as usual)公式HP
監督: 藤本幸久
制作、配給: 森の映画社、太奏

上映開始。
2008年7月26日、ポレポレ東中野にて、劇場公開。
2008年8月、大阪・第7藝術劇場、名古屋シネマテーク。